お家で遊ぼう!
日本人であれば誰もが必ず使ったことがある伝統的な道具「お箸」。
実はお箸の作り方やデザインなどは日本各地で特色があり、それぞれ伝統工芸としての深い歴史があります。
たとえば青森県の津軽塗や東京都の江戸箸などは皆さんもご存じではないでしょうか。
さて、今回ご紹介するのは、そんな伝統的な道具である箸を自分で作る方法です。
伝統工芸への挑戦は、夏休みの自由研究にもぴったり。自分で作ったお箸なら愛着もひとしお。子供の「道具を大切に使う心」も育めそうですね。
今回作るお箸は、気を切り出してオイルを塗るだけのとても簡単なものです。特別な道具や技術が必要ないので、小学生低学年などの小さなお子さんでも挑戦できますよ。
お箸作りに必要なもの
最初に完成品をご覧ください。上記の写真は、木の棒を箸の形に成型してからオイルを塗った完成品です。粗削りですが、これもまた個性。形にこだわって美しく磨き上げたり、色を塗ってみたりしてもいいですね。
今回使用した材料や道具は次の通りです。
【材料】
【道具】
箸の作り方
それではさっそく、実際にお箸を作っていってみましょう!
①木を伐り出す
最初に、材料の桧工作材から必要な長さを切り出します。普段自分が使っている既存のお箸の長さに合わせて切るのがいいでしょう。
ちなみに写真上の木材が桧、下の茶色っぽい木材はマホガニーです。今回お見せするのは桧の箸の完成品ですが、マホガニーやほかの木材を使う際も作り方は基本的に同じです。
このように、のこぎりを使って好みの長さに切り出したら次の工程に進みます。
②印をつける
先端に向けて徐々に細くなっていっているお箸の形状は、先端の方から少しずつ段階的に削りながら成型していきます。段階的に削っていくので、箸を3~4にわけて写真のように鉛筆などで印をつけましょう。
印をつける位置に特に決まりはありませんが、先端ほど印と印の間隔を狭く、手持ち側にいくほど間隔を広く──というイメージです。写真を参考にしてくださいね。
③木を削る
鉛筆を削る要領で、ナイフを用いて木を少しずつ削っていきます。最初は箸の先端から最初の印の間を削り、うまく成型したら次の印との間を削り──を繰り返します。
最初はこのような状態を目指しましょう。箸の先端を尖らせると危険なので、尖らせず丸みを持たせるのがポイント。
最初の印まで上手に削れたら、次の印に進みます。
後ほどサンドペーパーで太さや形を調整するので、この段階は大体の形でかまいません。細くなりすぎると修復できませんので、多少の太さや厚みを残しておくのがポイント。
うまく削れたら次の印まで進みます。
こちらがひとまず全体的に削り終えた状態です。
なお、ナイフの取り扱いが難しい小さなお子さんの場合は、ホームセンターなどにある小型鉋(かんな)を使うのがおすすめ。
小型鉋を使う際も手順は同じです。ナイフより安全性が高いですが、鉋も刃物ですので、使う際はお子さんと一緒に。安全に配慮してお子さんをサポートしてあげてくださいね。
④サンドペーパーで削る
今回使用したサンドペーパーは#240。
サンドペーパーは数字が低くなるほど目が粗く、数字が高くなるほど目が細かくなります。#240ですと、力を入れて削ると木材が変形するほど容易に削れるので、力が弱い子供にも使いやすいでしょう。
一方、大人が使う場合は余計に削り過ぎてしまわないよう、力加減に十分気を付けてくださいね。
サンドペーパーを使用して箸全体を滑らかにします。
ていねいに削ってでこぼこのない美しい仕上がりを目指してもいいですが、今回は自作箸らしくあえてでこぼこを残しました。
野性味のある素敵な箸になりそうです。
⑤オイルを塗る
オイルは乾性油を使用する必要があります。乾性油とは、乾燥することで硬化し、塗膜として機能するオイルのことです。えごま油やアマニ油、紅花油、グレープシード油、クルミ油などが乾性油です。
今回はアマニ油を使いました。
ウエスにオイルを取り、箸に擦り込むようにして塗っていきます。オイルが乾燥するには裁定でも12時間程度はかかるといわれているので、一度塗ったらそのまま乾かし、翌日にまた塗る──という作業を繰り返していきます。
塗れば塗るほど耐水性と耐久性が高まるので、時間が許す限り挑戦してみてくださいね。ちなみに筆者は3日で作業を終えました。
写真は、オイルを塗っていないもの(上)と、オイルを塗り始めてから3日経ったもの(下)です。
写真だと少しわかりにくいですが、オイルを塗った方は光沢があり、手触りも少しツルツルしています。オイルを塗れば塗るほど美しい仕上がりになるので、お子さんと一緒に変化を楽しんでみるのもいいですね。
両方とも同じ量のオイルを塗り込んで乾かしたら完成です。
世の中に二つとないオリジナルの箸。お子さんも愛着を持って使ってくれるに違いありません。
自作の箸で食育を
今回は、お箸を自作する手順をご紹介しました。
日本の伝統工芸品を自分で作ってみる自由研究らしいチャレンジをしたり、日本の伝統や文化に触れられるだけでなく、物を大切にする心、ひいてはお箸を通して食材に触れたり食卓マナーを学んだりと、子供にさまざまな教育機会を見出すきっかけになるかもしれません。
お箸作りを通して、親子の絆も深まりそうですね。