千葉ゆかりのあの人に聞く Chibaの魅力
新型コロナウイルスの蔓延によって、海外旅行はもちろん、国内移動も制限される日々が到来してから、「住環境」について改めて目を向けるようになった人も多いのではないでしょうか。外に出る機会が減ることで、日々の暮らしに求めるものも変化する。
「withコロナ時代」と言われる新しい生活様式を受け入れながら、自分のご機嫌をつくり、増やしていきたいと思うとき、暮らしのアップデートは大きな鍵を握っています。
引っ越しをしたり、模様替えをしたり、誰かと一緒に住んでみたり、その方法は三者三様。今回は、コロナ禍で再度注目を集めた「拠点を増やす」という方法で暮らしをアップデートした、澤 円(さわ まどか)さんに、千葉県出身のライター ほしゆき さんがお話を伺いました。
澤さんご夫婦は東京に自宅を持ちながら、2020年に千葉県山武市の物件を新たに購入し、現在半移住をしています。
澤 円(さわ まどか)さん
(株)圓窓の代表取締役。元・日本マイクロソフト株式会社業務執行役員。マイクロソフトテクノロジーセンターのセンター長を2020年8月まで務めた。DXやビジネスパーソンの生産性向上、サイバーセキュリティや組織マネジメントなど幅広い領域のアドバイザーやコンサルティングなどを行っている。複数の会社の顧問や大学教員の肩書を持ち、「複業」のロールモデルとしても情報発信している。
「焚き火したい」から始まった、半移住生活
ほし:取材準備で調べているうちに知ったのですが、澤さんは0歳のときから千葉県に住んでいらっしゃったんですね!
澤さん:そうそう。生まれは兵庫県なんですけど、0歳のうちに市川に引っ越して、3〜4歳くらいまで市川に居たのかな。その後は千葉市に引っ越して、大学卒業までだから……20年以上か。
浦安市にある某夢の国でアルバイトをしていて、「大学を卒業した」って言うより「夢の国を卒業した」って言った方が正しいくらい、ずっと働いていました(笑)。
ほし:夢の国でアルバイトしてたんですか…!?私も船橋出身で、夢の国はよく行っていたので、どこかでお会いしてたかもしれないですね(笑)。
澤さん:えっ、船橋なの!?それはあり得るかもしれないですね(笑)。
▲zoomでインタビューに応じてくださった澤さん
ほし:就職されてからは、ずっと東京暮らしだったと思うのですが……山武市に自宅を買われたのは、やっぱり千葉に帰りたいって思いがあったのでしょうか?
澤さん:いや、特に千葉にこだわっていたわけじゃないんですけどね。コロナで海外旅行ができなくなっちゃったでしょう。で、国内旅行すらもなかなか難しくなって。「非日常的な何か」がすごく欲しくなったんですよね。
僕の場合は、それが焚き火で。焚き火を自由にできる場所がほしいな〜って思うようになったのが始まり。
そういう意味では、山でも海でもいいっちゃいいんですけど。山が多い場所は、冬が大変なんですよね。あとはやっぱり千葉県民の血なのか、海のある場所の方が心が落ち着くのがあって、海沿いに絞りました。
東京へのアクセスも考えて、海の近くってなると千葉か神奈川か。鎌倉・葉山とかあっちも候補に入れてて、実際に何回か見に行ったんですよ。
ほし:そうだったんですね。葉山あたりも移住する人が年々増えていますし、穏やかですし、海沿いですごくいい街ですよね。
澤さん:そう!いい街なんだけど、やっぱり実際に行くってすごく大切で。解像度を高くして街を観察してみると、「自分のライフスタイルと合わないな」ってポイントが浮き彫りになるんですよね。
三浦半島って平地が少ないので、焚き火ができるような家ってなかなか見つからないんですよ。だから暖炉を持っている家が多いんですよね。あとはとにかく道路が混むってことがあって、難しいなぁと。
千葉なら京葉道路とか東関道とか、道路は馴染みがすごくあるのと、この道の先がどこに繋がっているのかって感覚はもうバッチリ入っているので、やっぱり千葉が合っているよねって話になりました。
ほし:千葉に決めてからお家を見つけるまでは、スムーズでしたか?
澤さん:最初は館山の物件に目をつけていたんですけど、そこが上手くいかなかったので館山はやめて。その後、今の家を契約するまで1ヶ月くらいだったかな。
物件を探しているときに泊まった、いすみ市のエアビーがすごく良かったんです。
まず解放感。平地で田んぼが多いので、空がすごく広くて。水源地帯だから空気も澄んでいるし、静かで落ち着くっていうのも気に入ったので、奥さんと「こっち側で物件探してみようか」って話になりました。そこから山武市の家を見つけるまで、すぐでしたね。
▲澤さんの山武市にあるご自宅
澤さん:もちろん庭で焚き火もできるし、歩いて3分で海だし、山武市は最高ですよ。本当にいいところです。
(焚き火は山武市の条例に従いつつ、安全に気を付けながら行っております。)
「移住するなら、山武市はかなり穴場だと思う」
ほし:今は、東京と山武のお家、どのくらいの割合で過ごしているんですか?
澤さん:うーん。今は、6割は東京、4割は山武って感じかな。GWなんかはずーっと山武で過ごしていたので、その時々で変わりますけどね。本当に「半移住」って感じです。
ほし:実際に山武に住んでみて、いかがですか?
澤さん:うちの近くの海岸はやっぱり最高ですよね。エアポケット的に誰もいないので。
僕の住んでいるエリアっていうのが程よく田舎で、程よく何もないのでそれがすごくいいです。仕事柄、ずっと頭の中があらゆる情報で埋め尽くされている状態が続くので、東京だと家の周りを散歩するにも、人も車も多いし騒がしいしで、情報が多くて休まらないんですよ。
でも山武の家だと、オンライン会議が終わって休憩しようと外に出たら空が広いし、人はいないし、すぐそこに海があって、見晴らしが良くて。自然と頭の中が整理されていくから、すごく休まるんですよね、癒されますよ。
▲澤さんがいつも散歩しているという海岸
例えば最寄りのコンビニまで車で10分とか、周りにあまりにも何もないと生活インフラ的に困るんだけど、車で少し走ればスーパーもホームセンターも病院もあるし。一応お隣さんもいて何かあった時には助け合える関係だったり、近くに役場もあるから何も困ることはないですね。僕は車の運転も好きなので、不便を感じることはないですよ。
ほし:ご近所の方とも、コミュニケーションを取られているんですね。
澤さん:お隣も移住組なので、すごく親しくさせてもらっています。いすみとかあっちのエリアほどじゃないですけど、山武もちょこちょこ移住組が増えているみたいですね。
僕の家の近所の皆さんもそうですけど、横浜とか東京とか、やっぱり都心からくる人が多いですね。結構若い方もいますよ。
ほし:九十九里沿いは、別荘もかなり増えていますよね。開発も進んでいますし、土地も高くなっている印象です。
澤さん:今すごいですよね〜!いすみの方もどんどん空き物件減っていっているし、地価も上がってるんで、山武は本当に穴場だと思います。
仕事がリモートで完結したり、僕みたいに半分東京に居れば成り立つ人たちは、これからどんどん移住してくると思いますよ。場所を選ばず価値創造できる人たちからすれば、肉体を置く場所としては最高なので!
▲まさに「最高」のひとときを閉じ込めた一枚
前半の記事では、澤さんと千葉の繋がり、山武市を選んだ理由について語っていただきました。後半は、澤さんが実際どのようにご自宅で過ごされているのか、拠点を増やすことについての思いをお伺いしています。
後半も、お楽しみに!
◾️ライタープロフィール
千葉県船橋市出身。地元が好きすぎるあまり20年以上船橋にとどまり続け、就職後も船橋から東京へ通っていた。大学卒業後ウェブメディアの編集部に所属し、2018年に独立。インタビュー記事を中心に、コピーライティングやコンセプトメイキングなど企画立案から幅広い分野で活動している。SHE likesライティングコースの講師を担当中。
関連リンク
▼澤 円 Twitter
https://twitter.com/madoka510/
▼株式会社 圓窓
https://ensow.jp