戸建てで楽しむ趣味ライフ
「本格的な燻製料理をおうちで作りたい!」
そんな動機で始まった、高機能燻製器をDIYする様子をレポートする当シリーズ。
前回は燻製器を作るのに必要な道具と材料を簡単な設計図とともにご紹介しました。
第2回目となる今回は、いよいよ燻製器の本体作りに着手します。
ちなみにDIY燻製器の完成形がこちらです。
縦に使えば、ベーコンや魚など比較的大きめの食材をぶら下げて燻煙できます。側面にもゴム足がついているので、横に倒して使うこともできます。広い面積を使って燻製作りをしたい場合や、強風で転倒のおそれがある場合などに便利です。
では、さっそく本体を作っていきましょう。
天板の両端を斜めに切り落とす
こちらが天板と底板に使う板材です。サイズはどちらも426mm(横)×243mm(縦)×13mm(厚さ)です。
底板はこのまま使うとして、天板の両端を斜めに切り落とし、側板との継ぎ目が見えないようにすると見た目が美しくかっこよさそうです。というわけで、電動丸のこの45度斜めカット機能を使い、天板の両端を切り落とします。
板の厚み分(13mm)だけを切り落としたいので、端から13mmをさしがねや定規などで測り、鉛筆で線を引いておきましょう。
両端に13mm幅の線を引いたら、線に沿って丸のこの刃を入れていきます。
45度の角度で両端をカットしたら次の工程に進みましょう。
側板の頭を斜めに切り落とす
天板の両端を斜めにカットしたので、それに合わせて側板2枚の上部も同じように処理する必要があります。
天板と接続する辺を45度に切り落としましょう。まずは板の厚み分(13mm)を測り、鉛筆で線を引きます。
次に天板と同様、丸のこの45度カット機能を使って線に沿って切り落とします。
側板を2枚とも処理したら次の工程に進みましょう。
天板と側板を接続する補助材を作る
天板と側板を接続するために、燻製器の内側に補助材をあてがわなければなりません。天板と側板それぞれを一つの補助材とつなげることで接続するというわけです。
接続には接着剤(木工用ボンド)と木ダボを使います。美観を損ねないよう、できるだけネジなどを使わない方針です。
さて、250×30×15のサイズの補助材を2本使いますが、ここは適当な端材から切り出して使ってもかまいません。それほど精度が求められる部位ではないので、ざっと切り出します。
まずはサイズを測って線を引き──
丸のこで一気に切り出します。もちろん手のこを使ってカットしてもOKですよ。
補助材はこの通り、天板と側板の両方に接続するように使います。接着剤だけでは強度が十分ではないので、木ダボも使います。天板側には2ヶ所、側板側には3ヶ所にダボを使えば十分な強度になるでしょう。
ダボを埋める適当な位置にマーキングします。中央に1ヶ所、中央と端の真ん中に左右それぞれ1ヶ所ずつマークするのがいいでしょう。
ちなみに、天板と側板、補助材の接続面それぞれにⒶやⒷなどの印をつけておけば、後で「どことどこが接続面だっけ……?」と戸惑わずに済みます。
1枚の天板、2枚の側板、2本の補助材すべてにダボ用の穴を開けたら次の工程に進みます。今回は6mmのダボを使うので、開ける穴の直径は5.5mmです。ダボとぴったりサイズの6mmの穴を開けると強度が弱くなってしまうので注意。
ダボ穴の深さは6~8mm程度です。
側板と背板と底板にダボ用の穴を開ける
背板と側板もネジなどを使わず接着剤とダボで接続するので、適当な場所にダボ穴を開けます。1枚の背板に対して左右に1枚ずつ計2枚の側板を接続するので、背板の左右両方にダボ穴を開けてくださいね。片側3~4ヶ所ほども開ければ十分でしょう。
底板もダボで接続するので、背中と底板にもダボ穴を開けます。
ダボ用の穴の数と場所は任意でかまいませんが、あまり少ないと強度に不安がありますし、ダボを打つ位置が偏りすぎてもやはり強度が心配なので、複数のダボ穴をできるだけ位置が均等になるよう意識して配置しましょう。
もちろん、それぞれの穴が適応するようにさしがねなどでしっかり計測して穴を開けてくださいね。
ダボを加工する
今回使用する13mmの厚さの板材に対し、ダボが30mmと長すぎて使えないため、自分で加工することにしました。10~15mm程度の長さにしたいところです。上の写真は、左が加工前のダボ。右がのこぎりでカットしたダボです。
のこぎりでカットしただけでは使いにくいので、カッターナイフや小刀などを使い、カット面の縁を削りましょう。
左が完成したお手製のダボです。右が加工前のものです。使用する数のダボを用意したら次の工程に進みましょう。
塗装する
材料の細かな加工を大体終えたので、ここで塗装しておきましょう。
塗料は好みのものを使ってかまいませんが、塗装するのは燻製器の外側だけです。燻煙する食材に塗料のにおいや成分が付着するとよくないので、内側にはいっさい何も塗りません。
燻製器内側の壁面は、燻製作りを繰り返していくうちに自然とヤニが付着して保護されるので何も塗らなくて大丈夫です。
外側は湿気などによるカビが怖いので、今回は防腐剤が含まれた塗料を塗り、その上から軽くラッカースプレーを吹きました。
ラッカーは、下地となる防腐剤入り塗料が乾いてから吹きます。
塗装作業は簡単ですが、乾くまでに時間がかかるのがネック。作業自体は30分程度で終わりますが、乾燥も含め、この工程で二日ほどは使います。時間に余裕をもって作業しましょう。
塗装すると深い色とツヤが出て、一気に高級感が増します。高揚する気分を抑えながら次の工程に進みましょう。
焼き網用の補助材を処理する
燻製器の中に焼き網をセットするための補助材を作ります。
今回補助材に使用したのは、8×8×900の桧(ひのき)工作材3本です。これらを220mmの長さに切り、8×8×220の補助材を10本作ります。
塗装は不要ですし精度も必要ありませんから、手のこでパパッと切っていきましょう。
10本の補助材を切り出したら、側板片方につき5本の補助材を貼り付けていきます。
──とその前に、試しに側板にステンレスシートを貼ってみることにしました。
ステンレスシートはこのようにロール状になっています。燻製器に設置したスモークチップなどが万が一にも側板に引火しないようにとの予防措置です。
背板と側板の幅に合わせてステンレスシートをカットし、写真の通り貼り付けました。……が、どうやらステンレスシートには耐火性がないようなのであまり意味がなかったかも……?
というわけで、ステンレスシートは特に必要のない飾り程度と思っておくのがよさそうです。
気を取り直して、焼き網用の補助材を側板に貼っていきましょう。
接着剤(木工用ボンド)と釘を使用して補助材を貼り付けました。貼り付ける位置は任意でOKですが、左右の高さを揃えるのを忘れないでくださいね。左右の高さがずれていると、焼き網を水平に設置できなくなってしまいます。
補助材を貼ったら、いよいよ本体を組み立てていきます。
天板と側板を接続する
まずは天板と側板&背板接続用に作った補助材を、側板と接続します。ダボ穴に接着剤を少し入れてからダボを差し込み、補助材と側板の間に接着剤を塗ってからくっつけましょう。
次に側板と背板を接続します。それぞれのダボ穴と接着面に接着剤を塗って接続します。
最後に天板と底板を接続したら、接着材を乾燥させるためにこのまま一日置いておきます。加工さえ終わってしまえば、組み立てはあっという間です。
実は、食材をぶらさげるための木の棒を設置するのを忘れていました。今回は本体を組み立ててから何とか棒を差し込むための穴を開けて事なきを得ましたが、実はこの棒は必要なかったことが発覚(笑)。
というのも、食材をぶら下げて燻煙したければ、焼き網にS字フックをぶら下げて使えばいいからです。わざわざS字フック用の棒を設ける必要がないので、この工程は飛ばしていただいてかまいません。
というわけで本体の完成です!
大容量な上に焼き網は取り外し可能ですから、かなり使い勝手のよさそうな燻製器になりそうです。
あとはドアをつければDIY燻製器の完成!
次回はドアを製作する様子をレポートします。お楽しみに!