建て替えとは?新築やリフォームどっちがお得?

2020.05.26 (火)

お役立ちコラム

古くなった住居を新装したいとき、選択肢としては建て替えとリフォームが挙げられます。建て替えとリフォームは似ているようですが、それぞれメリット・デメリットがあります。

今回は
・建て替えとリフォームの違い
・建て替えとリフォームのメリット・デメリット
・建て替えにかかる費用の相場
などを紹介していきます。

あなたの大事なお住まいにとって最適な修繕方法を知るヒントをぜひこの記事から探してみてくださいね。

 

1.建て替えとは

建て替えとは、元の古い家を壊して同じ場所に新しい家を建てることです。更地に新築を建てるのとは異なり、最初に古い建物を解体しなければなりません。解体工事は大きく分けて以下の3つの方法があります。

・基礎から解体する方法
・基礎を残して建物だけ解体する方法
・建物とともに周辺の塀も解体する方法

解体工事の後は、工事の際に残ったがれき類を撤去してから地盤調査を実施します。地盤が弱い場合は、地盤改良工事も行わなければなりません。
これらの過程を経て、いよいよ新築工事が始まります。基礎から解体している場合は基礎の工事から行うため時間がかかりますが、その分耐震性の面でより安心を得られるでしょう。

 

2.建て替えとリフォームの違い

2.1 建て替えとリフォームの特徴比較

建て替え工事にかかる費用は、解体費込みで1,000万円~4,000万円程度が相場です。一方、リフォームは既存の住宅を活かして部分的に改修するので、費用相場は300万円~2,000万円程度と、比較的安価に実施することができます。

ただし、全面的にリフォームするとなると、工事に伴う費用は1,000万円~3,000万円程度になります。場合によっては建て替えた方が費用を抑えられることもあるので、特に全面リフォームを検討しているのであれば、一度専門家に見積もってもらい、建て替え工事にかかる費用と比較して念入りに検討しましょう。

また、土地や家屋を相続する可能性があるのであれば、相続にかかる費用も含めて考えなければなりません。いずれにせよ、土地や家屋の状態にとっては相場よりも高くなる可能性があるため、費用は多めに見積もっておく必要があります。

工事の規模に伴い、工事期間も建て替え工事とリフォームとで大きく異なります。建物の大きさにもよりますが、一般的な建て替え工事は4ヶ月~6ヶ月程度かかるのに対して、リフォームは1ヶ月程度です。建て替え工事の場合は土地を一度更地にしなければなりませんが、リフォームは水回りや屋根、外壁などの不具合がある部分を改修するだけで済むため、短い期間で実施することができます。

 

2.2 建て替えのメリット・デメリット

建て替えはゼロから建物を設計し建設することで、以下のようなメリット・デメリットあります。

メリット
・希望を取り入れやすい
・生活しやすい間取りにできる
・老後のために平屋にすることができる
・断熱性能を向上させることができる
・リフォームよりもローンを組みやすい
・今ある土地を使えるので、土地探しをしなくて済む
・基礎から地震対策ができる
・行政から検査済証をもらえるため、安全性が保障される

 

デメリット
・解体・撤去・建築などに多額の費用がかかる
・不動産取得税や固定資産税、都市計画税、登録免許税など各種税金が発生する
・工事期間が長い
・家の中に不要な物が多いと、事前に処分するのに手間がかかる
・長期間住む場所がなくなるので仮住まいが必要になる
・「再建築不可物件」の場合は建て替えできない

 

2.3 リフォームのメリット・デメリット

リフォームは元の住宅を部分的に改修することで、以下のようなメリットやデメリットがあります。

メリット
・費用を抑えられる
・工事期間が短い
・必要な部分のみ改修できる
・全体的に改修を行うと新築に近いような仕上がりになる
・税金負担を軽減できる
・地域によっては省エネ改修やバリアフリー改修によって固定資産税を減額してもらえる
・場合によっては仮住まいをしないで済む

 

デメリット
・建て替えと比較すると自由度が低い
・希望が多いと追加費用が発生する場合がある
・フルリフォームの場合、建て替えより高額になる場合がある
・建物の状態によって、補修費用が高額になる可能性がある
・基礎や柱などを改修しない場合、家の強度に不安が生じる
・シロアリ点検を行っておく必要がある

 

3. 建て替えと新築の費用の違いと相場例

3.1 解体費

解体費は家の種類によって異なります。坪当たりの解体費相場は以下のとおりです。

・木造:3万円~5万円程度
・鉄筋:4万円~6万円程度
・鉄筋コンクリート:5万円~7万円程度

解体費は各階の床面積の合計である「延べ面積」で計算されます。よって、解体費は「解体する建物の種類(木造や鉄筋など)×延べ面積」で算出されます。

また、解体費の相場は建物の築年数や地域によっても変動します。

・築年数:浅いと費用が高く、長いと費用が安い傾向
・地域:大都市圏は費用が高く、地方は費用が安い傾向

なお、解体工事で発生する費用は解体費だけではありません。例えば、足場や養生を設置したり、重機や警備員を手配したりするためにも費用が発生します。また、解体工事を依頼する際は、解体後に新築を建設する会社に業者を紹介してもらうことが多いため、仲介手数料も必要です。その他、解体に伴って発生する住宅以外の除去費も発生します。これらの相場は以下のとおりです。

・足場:1平方メートルあたり800円程度が相場です。一般的な2階建て住宅の場合、20万円程度かかります。
・養生:1平方メートルあたり500円程度が相場です。業者によって単価は大幅に異なります。
・重機:1台あたり3万円程度、1坪あたり5千円程度がレンタル費用の相場です。道路が狭く重機がスムーズに入れない場合は、手数料が高くなることもあります。
・警備員:1人につき1万2千円程度(1日あたり)が依頼する際の相場です。
・業者への手数料:解体費用の10%程度が相場です。仲介手数料を抑えたい場合は、自分自身で解体業者を探して直接依頼することも可能です。
・住宅以外の撤去費:樹木は1本あたり1万円~5万円程度、浄化槽(生活排水を川に流すための装置)は5万円~10万円程度、ブロック塀は1平方メートルあたり2~3千円程度、アスベスト(飛び散ったり、吸い込んだりすると人体に害を及ぼす鉱物)は1平方メートルあたり2万円~8万円程度が相場です。

一方、新築では土地の購入費はかかるものの、始めから更地の土地を購入するので、このような解体費や撤去費は発生しません。

 

3.2 工事費

注文住宅の新築工事の相場は、地域によって異なります。

・全国:約3,308万円(約129.3㎡)
・首都圏:約3,593万円(約127.2㎡)
・近畿圏:約3,436万円(約130.5㎡)
・東海圏:約3,405万円(約132.0㎡)
・その他の地域:約3,106万円(約129.2㎡)

新築の工事費内訳は以下のとおりです。

・本体工事費:基礎工事や構造、仕上げ工事など
・付帯工事費:インテリア、電設工事関連費用、外構や庭をつくるためのエクステリア工事費用など
・諸費用:各種税金、住宅ローン手続き費用、つなぎ融資費用、火災・地震保険費用など

本体工事費は、新築にかかる費用の70~80%程度を占めます。新築購入費用が2,000万円であれば、本体工事費は1,600万円~1,800万円程度です。

 

工事費の内訳は、建て替えの場合も新築と変わりません。しかし、国土交通省の「平成29年度住宅市場動向調査報告書」における建て替え費用と新築の購入資金の比較を見ると、以下のとおり大幅な差があります。

・注文住宅新築世帯:平均 4,334 万円
・建て替え世帯:平均3,840万円

これは、新築を建設するにあたって土地の購入が必要となり、土地代が差額として現れていると言えます。土地代の高い都心部であればこの傾向はより顕著になるでしょう。建て替えであれば土地を購入する必要がないため、その分の費用を抑えることができます。

 

3.3 仮住まい費用

建て替えをする際は、それまで住んでいた住宅を壊して新たに住宅を建設するので、工事期間中に一時的に生活する仮住まいが必要です。仮住まいの主な選択肢としては、「賃貸住宅」「マンスリーマンション」「UR賃貸」などがあります。

建て替えの工事期間は4ヶ月から6ヶ月程度です。6ヶ月かかると仮定した場合、それぞれの選択肢の費用目安(東京都23区、2DK、敷金負担6万円・同一区内の引越しの場合)は以下のとおりです。

・賃貸住宅:130万円程度
・マンスリーマンション:130万円程度
・UR賃貸:100万円程度

賃貸住宅であれば、費用を最小限に抑えることができます。なお、賃貸住宅と一口にいっても、アパートやマンションだけでなく一戸建てを借りることも可能です。

 

新築の場合は、住んでいる家と別の場所に住宅を建設することになるので、基本的には仮住まいを探す必要はありません。建て替えの場合でも、一時的に実家などに戻ることが可能であれば仮住まいをせずに済むでしょう。
また、ハウスメーカーによっては仮住まい用の物件を斡旋してくれる会社もあるので、不安のある方は施行プランの打ち合わせの際に相談してみると良いでしょう。ハウスメーカーに斡旋してもらえれば、仮住まいを探す手間がなくなるだけでなく、会社によっては仲介手数料も発生しません。希望に見合った仮住まい用の物件があるか、早い段階で確認してみることをおすすめします。

 

3.4 その他の経費

工事費の中で「諸費用」について少し触れましたが、解体費・工事費・仮住まい費用の他の費用として、具体的には以下のようなものが発生します。

・地盤調査費用:10万円程度
・住宅ローン契約印紙税:2万円(1,000万円~5,000万円の借入の場合)
・つなぎ融資費用:非課税~60万円
・近隣挨拶費用:千円程度(1人あたり)
・地鎮祭費用:5万円程度(謝礼2万円~3万円・お供え物2万円~3万円)
・上棟式費用:数万円~数十万円(1人あたり、祝儀5千円~3万円・引き出物2千円・料理代3千円~5千円、他)
・住宅ローン融資手数料:3万円~5万円
・引っ越し費用:5万円~12万円(閑散期と繁忙期によって大きく異なります。また、建て替えの場合は仮住まいも必要なため2倍の費用がかかります。)
・火災保険費用:15万円~40万円程度(保険期間10年・家財保証なしの場合)
・地震保険費用:5万円程度(千葉県・2,500万円の木造住宅・保険期間5年の場合)
・登録免許税:固定資産税評価額×税率

上記に加えて、新築の場合は土地購入費が必要になるケースが大半です。令和2年時点の地方別公示地価(坪単価平均)は以下のとおりです。
・首都圏:149万5544円
・東北地方:22万2167円
・関東地方:152万2162円
・中部地方:41万5590円
・関西地方:69万2996円
・中国地方:29万4280円
・四国地方:20万9976円
・九州地方:35万2848円
・北陸地方:17万8775円
・関西甲信越:138万6124円

なお、新築であっても既に土地を持っている場合や相続できる場合もありますが、土地代自体は発生しなくても、水道工事や外構工事など費用が発生します。

 

建て替えのみかかる経費

「建物滅失登記」のための費用が4万円~5万円程度かかります。建物滅失登記とは、法務局に登録されている登記簿に、建物を解体したことを申請する手続きのことです。

 

4. 建て替えの注意点

・建て替えできる土地か確認する

土地の中には、更地にしてしまうと新しい家を建ててはいけないものもあります。これを「再建築不可物件」と言います。例えば、道路に接していない土地や、接している路地が2メートル未満の土地などがこれに該当します。自分で判断することは難しいので、まずは役所に相談してみましょう。住宅会社によっては相談できたり調べたりしてくれるところもあります。

 

・登記簿謄本の名義を確認する

解体工事の前に、登記簿謄本の名義人を確認しましょう。名義人が亡くなっている場合は、建物は相続人全員の共有財産になります。確認せずに解体を始めてしまうと、後々トラブルになりかねません。なお、相続人を決めるためには、相続人全員の印鑑証明書を添えた遺産分割協議書を作成する必要があります。

 

5. まとめ

理想の間取りを実現しつつ耐震面でも安心できる家に住みたいのであれば建て替えが、費用を抑えて特定部分を改修したいのであればリフォームがおすすめです。まずはそれぞれのメリットとデメリットをふまえて、自分の希望がどちらに近いのかを考えましょう。建て替えでもリフォームでも、必要な工程や発生する費用はさまざまです。特に費用は地域や業者によって大きく異なります。自分だけで調べて決断するのには限界があるでしょう。まずは専門家に相談してみることをおすすめします!

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