二世帯住宅とは?メリット・デメリットから相場、間取り、おすすめの完全分離型まで徹底解説!

2020.05.26 (火)

お役立ちコラム

親世帯の介護や子世帯の育児の手伝いなど、三世代に渡って寄り添いながら暮らしていける二世帯住宅。一方で、両世帯の生活リズムは異なるため、二世帯住宅で失敗しないためには、工夫した空間づくりが必要となります。

 

今回は、
・二世帯住宅のメリット・デメリット
・メリットを最大化するための間取り
・おすすめの完全分離型
などを紹介します。
二世帯住宅の相場や事例について学びましょう。

 

1.二世帯住宅とは?

二世帯住宅は、親世帯と子世帯の2家族が同じ屋根の下で暮らす住宅です。二世帯住宅には、「完全同居型」「部分共有型」「完全分離型」の3つのタイプがあります。

 

・完全同居型

玄関は玄関はもちろん、浴室やトイレ、キッチンなどの水回り設備を完全に共同で使用します。寝室などの個室は分けますが、ほとんどの生活空間を共有するのが特徴です。昔ながらの二世帯住宅のスタイルといえるでしょう。親世帯と子世帯の生活リズムが似通っていれば、あまり支障を感じずに暮らすことができるでしょう。

 

・部分共有型

玄関やキッチンなど、住宅の一部分を共有することから、「一部共有型二世帯住宅」ともいいます。設計する際に、親世帯と子世帯で共有する部分について話し合って自由に決められるのが特徴です。

コストをある程度抑えつつ、プライバシーも確保することができます。親世帯が独り身、あるいは近い将来に介護が必要になる家庭や、必要に応じて子育てのサポートを受けたい方に向いています。

 

・完全分離型

親世帯と子世帯でそれぞれの居住空間を完全に分けて暮らします。個室からリビング、水回りもすべて別々のため、それぞれのプライバシーを十分に確保できるのが特徴です。お互いの生活を独立させながらも、お互いがそばにいることで安心感を得たり、いざというときに助け合ったりすることができます。

 

 

2.二世帯住宅に住むメリット・デメリット

2.1 二世帯住宅に住むメリットについて

「完全同居型」「部分共有型」「完全分離型」のタイプを問わず、二世帯住宅には経済的なメリットがあります。土地を共有することによって建設コストを大幅に削減できるだけでなく、二世帯分の公的融資を受けられるため、税金も軽減されます。また、それぞれのタイプならではのメリットも存在します。

 

完全同居型

・親世代のサポートをしっかりできる
・子どもの世話を手伝ってもらいやすい
・3タイプの中で最も建設コストやランニングコストを抑えられる
・共用部分が多く間取りがシンプルなので、1つひとつの部屋を広く大きく設計できる
・将来的に一世帯にする際も対応しやすい

 

部分共同型

・完全同居型に比べ、プライバシーが保たれる
・親世帯と子世帯で適度にコミュニケーションがとれる
・共有部分を増やすことで、より建設コスト・ランニングコストを抑えられる

 

完全分離型

・3タイプの中で最もプライバシーが保たれる
・ライフスタイルが大きく異なっていても気を遣わないですむ
・電話代や光熱費を世帯ごとに分けられる
・不動産取得税や固定資産税などの税金面で優遇される
・将来的に賃貸としても活用できる
・将来的に兄弟で相続する場合、世帯ごとに分かれて住める

 

2.2 二世帯住宅に住むデメリットについて

全タイプに共通するデメリットとして、お金に関する問題が挙げられます。まず、固定資産税をどのように分担するかを事前に話し合う必要があります。また、完全同居型と部分共有型は、水道光熱費などのランニングコストをどのように支払っていくかも決めなければなりません。

その他にも、例えば水回りなどの共有部分の使い方や使う時間について、価値観のズレによりトラブルが発生することもあります。なお、完全分離型は初期費用こそかかるものの、各世帯それぞれが完全に分離しているので、こういったトラブルを過度に心配する必要はないでしょう。その他、それぞれのタイプならではのデメリットは以下のとおりです。

 

完全同居型

・3タイプの中で最もプライバシーが保たれにくい
・生活音が気になる
・お互いの来客時に気を遣う

 

部分共同型

・建設前に話し合う際、共有したい部分が一致しないことがある
・共有部分の使用時間や方法でトラブルが起こらないよう、お互いの生活リズムをすり合わせておく必要がある
・共用部分の生活音が気になる

 

完全分離型

・建設コスト・ランニングコストが相対的に高い
・介護・育児の助け合いが相対的に難しい
・両世帯の居住スペースを確保するために、1つひとつの部屋が狭くなる可能性がある

 

3.二世帯住宅の間取りとその選び方とは?

二世帯住宅の間取りは、親世帯と子世帯が話し合って自由に選ぶことができます。検討の際は、ライフスタイルや将来のことを考慮することが大切です。

 

完全同居型

完全同居型の場合、寝室が多くなるだけで他の間取りは通常の家庭とほとんど変わりません。部屋数を増やしたければ、3階建てにするという方法もあります。なお、親世帯や自身の老後のことを考慮し、キッチンやお風呂は1階に設けると良いでしょう。

プライベート空間が欲しい場合は、ミニキッチンや簡易のシャワールームを設置するのもおすすめです。生活リズムが大幅に異なる場合は、トイレ以外の水回りの場所や玄関など、生活音が特に気になる部分と寝室を離すといった工夫をしましょう。老後のことを考慮すると、トイレは寝室の近くにするのがおすすめです。

また、防音対策として、壁や床に遮音性の高い素材を使うのも良いでしょう。

 

部分共有型

部分共有型の間取りは、親世帯と子世帯のお互いの距離感や生活リズムに応じて検討しましょう。価値観や生活リズムのずれが大きい場合は、玄関とキッチンなど、最低限の部分だけ共有するのがおすすめです。中には、1階に共同キッチンを、2階に来客用としてミニキッチンやセカンドリビングを設置している家庭もあります。

一方、両世帯の関係性が良好で、建設コストやランニングコストをできるだけ抑えたいのであれば、トイレ以外の水回りはできるだけ共有にすると良いでしょう。

 

完全独立型

完全独立型には「縦割り型」と「横割り型」の2つのタイプの間取りがあります。いずれも2階建て以上の建物を建設しますが、縦割り型は左右に世帯を分け、横割り型は階ごとに世帯を分けます。縦割り型は親世帯も子世帯も庭を持つことができ、災害時も避難しやすいというメリットがあります。ただし、老後に2階を使えなくなってしまう可能性もあることも念頭に置かなければなりません。

一方、横割り型は、子世帯が2階に住めば、親世帯は階段を上り下りしなくて済むというメリットがあります。ただし、子世帯は出入りのたびに階段を使用することになるため、階段の上り下りの音が気になる可能性があります。また、縦割り型はほぼ二戸分の家を建てるのと設計が変わらず、横割り型に比べて費用が割高になりがちなので、多くの家庭が横割り型を選択する傾向にあります。

 

3.1 完全分離型がおすすめの理由とは?

二世帯住宅を建てるなら、3タイプの中でも「完全分離型」がおすすめです。前述のとおり、プライベートが保たれること、将来賃貸としても活用できることが完全分離型の魅力ですが、気になるのがコスト面でしょう。しかし、これからご説明する「不動産取得税」と「固定資産税」の優遇措置は、コスト面の懸念をカバーするだけの魅力があります。

土地や住宅を購入・贈与すると、「不動産所得税」が発生します。不動産取得税は、「固定資産税評価額×税率」で算出されます。土地が住宅用の土地およびそれに等しいと評価されている場合は、固定資産税評価額は半分に軽減されます。

一定の要件を満たす土地や住宅は、この不動産取得税の軽減措置を受けることができます。その一例として、床面積が50~240平米の新築住宅は、住宅の評価額から1,200万円が控除されます。完全分離型のように設備・環境が独立している二世帯住宅の場合は、建物が1つであっても2戸分と判断され、控除額が2倍の2,400万円になる可能性があります。

また、土地や建物などの固定資産を所有していると、「固定資産税」を毎年払わなければなりません。この固定資産税にも不動産取得税と同じく軽減措置の特例があり、土地の面積によってその減額率が異なります。面積が広くなると減額率が低くなる仕組みですが、上記と同じく2戸と判断された場合は1/2の面積で減額率を決めることができます。

このような税金面の優遇措置に加え、完全分離型は売却面でもメリットがあります。完全分離型は他の2タイプに比べて建設コストが高い分、売却時に高い値段がつく傾向にあります。また、それぞれの居住スペースが完全に独立しているため、2世帯住宅として丸ごと売り出すことも、1世帯分だけを売り出すこともできるのです。子世帯だけが住み続けたい場合に、親世帯が住んでいた部分を賃貸したり売却したりできるのは嬉しいポイントでしょう。

 

4. 二世帯住宅の相場について

新築の二世帯住宅の価格相場(土地代を含まない)は以下のとおりです。
・完全同居型:3,200万円
・部分共有型:3,695万円
・完全分離型:4,009万円

親世代と子世代で別々の居住スペースが多いほど、費用は高額になる傾向にあります。いずれにせよ少なくない費用がかかりますが、介護や育児で協力できる二世帯住宅は多くの人が魅力に感じるでしょう。実際に、介護や育児にまつわる課題の打開策として国も二世帯住宅を推奨しており、以下のような補助金を整備しています。うまく活用すれば、相場よりも安く二世帯住宅を建てることができるでしょう。

 

長期優良住宅化リフォーム推進事業
リフォームや、三世代同居を目的とした改修工事、住宅診断のための費用などのうち、条件を満たす場合に費用の1/3(限度額まで)を支給する補助金制度です。

 

すまい給付金
消費税増税による住宅取得費用の負担を軽減するために、2014年から導入されている給付金制度です。二世帯住宅のみが対象の制度ではなく、住宅ローン減税による所得控除の効果が少ない家庭にも適用されます。

 

5. 二世帯住宅の施工事例

アイデア満載の提案力、そして確実に実現できる確かな腕が魅力
・間取り:7LDK+納戸
・延床:234.14平米(70.82坪)
・敷地面積:991平米(299.77坪)

体への負担が少ない平屋造りです。外構部にはスロープと手すりが設置されており、室内もバリアフリー仕様になっています。外観はモダンながらも落ち着いていて、親世帯にも嬉しいデザインです。家族が集まりやすい交流動線、効率的に家事ができる家事動線にも配慮しています。
https://worldhouse.koori.jp/gallery/details_21.html

 

暮らしやすさとカッコイイを兼ね備えた二世帯住宅
・間取り:1LDK+8LDK
・延床面積:281.51平米(85.15坪)
・敷地面積:939平米(284.04坪)
・建物金額:3,500万円~
・家族構成:夫婦+子供7人

10人家族でもそれぞれの時間が過ごせる、完全分離型の二世帯住宅です。明るい光をたくさん取り入れられ、両世帯でコミュニケーションをとれる吹き抜け構造が特徴です。外観はシンプルでモダンでありながら、室内には広々とした和室も備えています。
https://worldhouse.koori.jp/gallery/details_25.html

 

三世代みんなの声が響きあう さり気なく空間を共有する二世帯住宅

2階にも「第二のリビング」があり、各階で家族団らんを楽しめる設計になっています。また、リビングの2箇所に引き戸を設置することによって、客間として利用できるのもポイントです。三世代が同居する二世帯住宅ですが、いずれの部屋も広々としていて解放感があります。
https://worldhouse.koori.jp/gallery/details_24.html

 

6. まとめ

親世帯・子世帯との同居に抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、特に「完全独立型」なら、二世帯住宅でありながらもお互いのライフスタイルやプライバシーを確立して生活することができます。二世帯住宅は、多くの人が抱える介護や育児の問題についての解決策になるだけでなく、例えば共働き夫婦などで家を空けることが多ければ、同じ家に親世帯が住んでいることで安心感を得ることができるでしょう。なにより、大家族としてのつながりを感じながら毎日生活できるのは大きな魅力です。国全体でも二世帯住宅を推奨しているため、税金面で優遇されたり補助金などの支援を受けたりすることもできます。この機会に、ぜひ住宅の専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

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