千葉グルメを味わう
地域によりバリエーション豊かな伝統料理がある千葉県。
長い歴史の中で語り継がれてきた食文化は、千葉の無形財産としてこれからも後世に伝えていきたいですよね。
今回ご紹介する「高津のとり飯」は、千葉県八千代市高津地区に伝わる伝統料理です。
とてもシンプルで簡単な料理ですが、だからこそ素材の味が生きる料理でもあります。
鶏肉はもちろんお米も、地元の新鮮でおいしい銘柄にこだわって、至高のとり飯を楽しむのもいいですね。
高津のとり飯の特徴
高津のとり飯は、高津地区では安産祈願に婦人が集まり子安神を祭る子安講(こやすこう)や、豊作を祈る八朔(はっさく)といった行事において、古くから食べられていたといいます。
また、高津地区では子安講を女人講(にょにんこう)と言ったり、毎月19日に開催されていることから十九夜講と呼んだりする場合もあります。
子安講は現代っぽくいうと「女子会」や「ママ友会」のようなもので、農家のお嫁さんにとっては、月に一度開催される子安講が何よりもの楽しみだったのだとか。たくさんのとり飯を用意して、ママ同士で育児や家事、結婚生活の大変さや苦労、知恵などを話し合って盛り上がっていたのかもしれませんね。
当時は現代ほど食べ物にあふれておらず、米も鶏肉も貴重な食糧でした。小さく切って醤油で味をつけた鶏肉を炊いたご飯と混ぜるだけ──というとてもシンプルな高津の鶏飯ですが、当時ではごちそうだったのかもしれません。
鶏肉を小さく切るのも、肉が貴重だったため全員に平等に肉が行き渡るように工夫した名残だとか、卵を産まなくなった鶏は肉質が固くて噛みにくいためだとかといった説があります。
作り方はとても簡単ですが、実はとても合理的でおいしい伝統料理なので、多忙な現代人が時短でおいしい食事を摂るのにもうってつけ。
当時のとり飯を再現し、元気いっぱいに野を走り回って育った平飼いの地鶏を使うと、素材のおいしさをじっくりと堪能できます。
地元のおいしい鶏肉とお米を見つけた時は、ぜひ昔ながらのおいしい高津のとり飯を作ってみてくださいね。
材料(3~5人分)
高津のとり飯で使う材料は次の通りです。
高津のとり飯のレシピは、「米1升(10合)に飯茶碗1杯(およそ160~180ml)」のバランスで代々伝えられてきたといいます。大人数にも対応しやすい料理ですが、本記事では3~5名ほどの人数を想定しています。人数によりそれぞれの分量を調整してくださいね。
作り方
それでは実際に高津のとり飯を作っていきましょう。
作り方は本当にシンプルなので、料理初心者はもちろん、料理に初めて挑戦するお子さんの食育にもうってつけ。夏休みの自由研究や、家庭学習の課題にもぴったりの題材ですよ。
①ご飯を炊く
あらかじめご飯を通常通り炊いておきましょう。せっかくですから、粒すけやふさおとめ、千葉県産コシヒカリなど、地元のおいしいお米を使いたいですね。
②鶏肉をカットする
鶏もも肉を、小指の先ほどの大きさにカットしましょう。こちらも房総地どりや水郷赤鶏など、やはり地元の銘柄鶏を使いたいところ。近所のスーパーやお肉屋さんで、おいしそうな地鶏を探してみてください。
③鶏肉を炒める
フライパンにサラダ油を引き、鶏肉を炒めます。サラダ油は肉がフライパンにくっつかないようにするためのものなので、ごく少量で構いません。数滴のサラダ油をフライパンに垂らしてからキッチンペーパーなどで伸ばして引いたり、油引きなどを使ってフライパンにサラダ油を塗ったりしてもOK。
④味付けする
鶏肉に火が通ったら、醤油を加えて混ぜながら煮詰めます。醤油の汁気が少なくなるまで、しっかりと煮詰めましょう。煮汁が少し残っているところで火を止めるのがポイント。煮すぎると焦げてしまうので気を付けてくださいね。
ちなみに千葉は醤油の名産地としても有名です。お気に入りの醤油を厳選して使ってみるのもいいですね。
⑤鶏肉とご飯を混ぜる
飯台やボウルなどを使い、鶏肉とご飯をしっかり混ぜましょう。この時、ご飯の粒をつぶしてしまわないように注意。ご飯を練るように混ぜてしまうと、ご飯のでんぷん質により粘り気が出てしまいます。寿司飯を混ぜる時のように、しゃもじでご飯を切るようにして混ぜてくださいね。
⑥完成
醤油の色がご飯全体に回ったら、あとは器に盛り付けて完成です。
お好みで刻みねぎや紅生姜などを乗せてください。
おもてなし料理にぴったりな高津のとり飯
とても簡単に作れる高津のとり飯は、おもてなしにはもちろん、忙しくて疲れている日の時短料理としてもぴったりです。年間行事で親戚が集まる際などの大人数にも対応しやすいので、ぜひともレパートリーに入れておきたいですね。
シンプルなのにおいしい高津の伝統料理を、ぜひ試してみてくださいね。