千葉グルメを味わう
皆さんは「はかりめ丼」をご存知ですか?
はかりめ丼は、知る人ぞ知る富津市のご当地グルメです。名物の穴子(あなご)を使った丼で、市内の食堂や料理屋などで提供されています。
ご家庭で楽しむ機会があまりないはかりめ丼ですが、穴子好きなら「おうちで作って食べてみたい……」と思う方も少なくないはず。
というわけで、今回は穴子のさばき方からはかりめ丼の作り方まで一挙ご紹介します!
はかりめ丼作りのおおまかな流れ
はかりめ丼作りは、穴子をさばくところから始まります。
対面販売で穴子を購入する際は、お店の人に開いてもらってもいいですよ。その場合は穴子の頭と背骨をもらうのを忘れずに。たれを作る際のいい出汁になるんです。
穴子を開いたら、身全体に入っている骨を食べやすく処理(骨切り)します。その後、穴子の皮目に熱湯をかけてぬめりを取り、ふっくらと煮たら煮穴子の完成。ご飯をよそった丼に煮穴子を乗せたらはかりめ丼のできあがりです。
それではそれぞれの工程を写真とともに詳しく解説していきますよ。
穴子のさばき方
まずはあなごのさばき方の解説です。
スーパーやお魚屋さんで、締めた状態の穴子を買ってきてくださいね。穴子1本で1~1.5人前程度。大きめの穴子だと1本で2人分になりますが、大きな穴子は小骨が太く口に障りやすいので、初めての際は小ぶりなものを選ぶのがおすすめです。
1. 目打ちをする
穴子の身はぬるぬるしておりとても滑るので、最初に目打ちを使ってまな板などに固定します。目打ちがなければ釘で代用しても構いません。まな板に穴を開けることになるので、穴子専用のまな板を用意するか、穴子の身の長さほどの清潔な木の板などを使いましょう。
この時、穴子の背中が手前にくるようにセットしてください。
穴子を目打ちで固定したら胸びれの後ろから包丁を入れ、身を開いていきます。
2. 身を開く
穴子の中骨に沿って包丁を入れていきます。腹側は皮一枚でつなげておき、背開きにします。身が滑って危険なので決して力まずに。初めての方は、ケガ防止のため軍手などを着用するのがおすすめです。
3. 内臓を取り除く
身を開いてあらわになった内臓を取り除きます。内臓を傷つけないよう、ていねいに取り除きましょう。取り除いた内臓は使いませんので廃棄して構いません。
4. 中骨の片側を切り離す
次は中骨を外す作業です。中骨は無数の小骨で身とつながっているので、両側に切り込みを入れて小骨を断ち切り、身から外しやすくします。
まずは中骨の奥側に逆さ包丁で切り込みを入れていきましょう。尾の先までしっかり切り込みを入れるのがポイントです。
5.中骨の反対側を切り離す
次に中骨の手前側に切り込みを入れていきます。こちらは逆さ包丁でなくてもできます。小骨を断ち切るように少しずつザクッザクッと進めていきましょう。できるだけ骨に身が残らないよう、中骨に沿って切り込みを入れるのがポイントですよ。
6.中骨を取り除く
中骨の両側に切り込みを入れたら、最後は中央に刃を這わせながら中骨を外します。初めての作業だと、スーッときれいには取れないはずです。中骨はまだ小骨を介して身とつながっていますので、小骨を順に断ち切るようにザクッザクッと切り離していきましょう。
7.血を拭く
中骨を取り除くと、身に少し血がついているはず。血は臭みの原因になるので、キッチンペーパーなどできれいに拭き取ってくださいね。
8.背びれを落とす
身の手前側にはひらひらとした背びれがついています。背びれは食感が悪いため、切り落としておきましょう。
大体尾の先から胸びれの手前くらいまで背びれがあります。尾の方から背びれに切り込みを入れたら先端を左手でつかみ、包丁の先を走らせるようにして背びれを切り落としていきましょう。
9.腹びれを落とす
開いた身を閉じ、腹側のひれも背びれと同様の手順で切り落とします。
10.骨切りする
穴子の処理もいよいよ佳境です。あなごの身には全体的に小骨があります。小骨はそのままだと食べるときに口に障ったり喉に刺さったりして危険なので、包丁で細かく刻んで食べやすくします。この作業を「骨切り」といいます。
骨切りは、穴子の身におよそ1mm程度の感覚で切れ目を入れます。皮まで切り落としてしまわないよう注意しましょう。うまく骨切りができていると、骨が切れているジャッジャッという感覚があります。
右が骨切りをした穴子の身、左が何もしていない状態です。
11.頭を落とす
骨切りを終えたら、穴子の処理は完了です。最後に頭を切り落としましょう。
煮穴子(はかりめ丼)の作り方
穴子の処理を終えたら、次は煮穴子を作ります。たれに使用する材料は、水と酒、醤油、砂糖、みりんに穴子の頭と中骨です。
1.ぬめりを取る
最初に穴子のぬめりを取り除きます。ぬめりは臭みの原因になるので、地味なようで実はとても重要な一手間です。写真のように網などに穴子を乗せ、皮目に熱湯をかけてぬめりを落としましょう。ヤケドをしないよう注意してくださいね。
皮が縮んで身が反り返るくらいにしっかりお湯をかけてぬめりを落とします。
2.たれを作る
鍋に500ml程度の水を張ったら、穴子の中骨と半分に割った頭を入れて出汁を取ります。中骨は鍋に入れる前に流水で洗い、血や汚れをしっかり落としておきましょう。
また、中骨が長くて鍋に入れにくい場合は、適当な長さに切り分けて構いません。
湯が沸いたら弱火に落とし、出てきたアクをていねいにすくいながら15分ほど煮込みます。
3.穴子を煮る
穴子の出汁が十分に出たら頭と中骨を取り除き、酒を100ml、醤油を50ml、砂糖を50g、みりんを50ml加えて沸かします。2分ほど沸かしてアルコールを飛ばしたら弱火に落とし、穴子を入れていきます。
落としぶたをして15分ほど煮たら火を止め、自然に冷ましたら煮穴子の完成です。煮穴子は非常に崩れやすいので、ていねいに扱いましょう。
4.はかりめ丼の完成
丼によそったご飯の上に煮穴子を乗せたら、はかりめ丼の完成です。
鍋に残ったたれは、お好みの濃さになるまで煮詰め、丼の仕上げに回しかけるといっそうおいしいですよ。
おうちではかりめ丼を楽しもう!
穴子を自分でさばくのは大変な作業ですが、それだけに自分で作ったはかりめ丼のおいしさもひとしおです。手間をかけて作るだけの価値があるので、ぜひとも千葉県産の穴子を使って、富津市名物のはかりめ丼をおうちで楽しみましょう!