千葉グルメを味わう

九十九里名物!
幻の貝「ながらみ」を楽しもう

クセがなくて歯切れよし。子どももシニアも食べやすい貝

はまぐりやあさりなど、貝類が豊富な千葉の海。

千葉県の貝類の漁獲量は全国トップクラスで、4,789tと全国第3位(2019年)。旬のみならず、年間を通して多くの貝類が県内のスーパーや魚屋に流通しています。あさりの酒蒸し、アクアパッツァ、はまぐりのお吸い物など、親しみのある料理がたくさんありますよね。

さて、今回ご紹介するのは、そんな千葉県産の貝の中でも「幻の貝」と呼ばれている「ながらみ」です。あさりやはまぐりとは一味違う、九十九里名物「ながらみ」の楽しみ方をご紹介します!

ながらみとは

ながらみは、正式名称「ダンベイキサゴ」という巻貝です。見た目や大きさはカタツムリによく似ており、幅は3~4cm程度。九十九里名物の珍味ですが、生息範囲は本州から四国、九州まで分布し、地域によっては「キシャゴ」と呼ばれることも。

貝殻の表面には光沢がありつるつるしているのが特徴で、幾何学的な美しい模様が目を引きます。色は灰色のものや青灰色のもの、茶色みを帯びたものなどさまざまで、個体により印象が異なるのが面白いところ。栃木県ではその昔、おはじき(直径2cm程度の円形のガラス製玩具)の代わりにながらみの貝殻を使っていたとか。その名残で、おはじきのことを古くから「キシャゴ」と呼ぶそうです。

話を戻しまして、ながらみはその見た目と味の良さから「海の宝石」や「巻貝の女王」、「海のダイヤモンド」という異名を持っています。旬は春から夏にかけてですが、近年は漁獲量の減少から「幻の貝」とも呼ばれるようになりました。唯一無二の味を楽しめる九十九里名物のながらみ、旬の時期にぜひお試しください。

ながらみってどんな味?

ながらみの特徴を表す言葉として「味はさざえ、食感はあわび」というものがあります。この言葉が示す通り、ながらみは深いうま味がありクセがなく、歯切れのいい食感が特徴です。

特に貝類に関しては、肝の部分(黒っぽい部分で、中腸線といいます)のほろ苦い味が苦手という方も多いのではないでしょうか。

肝は鮮度が落ちると苦みが増し、いっそう食べにくくなります。その点、ながらみは貝類特有の苦みがほとんど感じられないのが特徴。小さなお子さんでもおいしく食べやすい貝です。クセがないので、貝のうまみを純粋に楽しめるのがながらみの魅力。磯臭さやぬめりも少ないため、とても上品な印象を受けます。

食感はアワビのコリコリ感というよりは、歯切れのいいサックリ感といった具合。身は細くかみ切りやすいので、歯やあごの弱いお年寄りにも食べやすい貝です。

ながらみをおいしく食べる調理法

ながらみのおいしさをシンプルに楽しむなら、やはり塩ゆでがおすすめです。塩の量は水に対して大体1.5~2%。1000ml(1L)の水に対して15~20g程度の塩を使います。

ほかの貝と同様、生きているながらみは砂を食べている可能性があるので、調理の前には海水と同程度の3%の塩水に浸けて砂抜きをしましょう。スーパーや魚屋などで販売されているながらみはある程度砂が抜けているので、1~2時間ほど浸けておけばOK。潮干狩りなどで獲ったものは、半日ほどかけて砂抜きするのが理想です。調理前日の夜に塩水に浸け、一晩かけて砂抜きするのがおすすめ。

冷蔵庫の中に入れると貝が活動しなくなり砂を吐かなくなるので、常温の涼しい場所で砂抜きしましょう(夏場は冷蔵庫で構いません)。

塩ゆでの方法はシンプルです。水を張った鍋に塩を入れて混ぜ、ながらみを入れて加熱するだけ。熱湯の中にながらみを入れると、身が奥に引っ込んで食べにくくなってしまいます。必ず水から茹でましょう。乾燥昆布を一緒に入れるなどして風味を一工夫すると、まるで料亭の小料理のようにいっそうおいしく楽しめますよ。

塩ゆでのほか、バーベキューなどで貝ごと焼いたり、醤油、酒、みりん、砂糖、水で甘辛く煮たりしてもおいしく楽しめます。

ながらみの食べ方

ながらみは巻貝なので、取り出すのに竹串や爪楊枝などを使います。貝の入り口から串を身に刺し、そのままくるくると巻き取るようにして身を取り出します。無理やり引き抜こうとすると身が途中で切れてしまうので、優しく取り出すのがポイント。

また、ながらみの頭側には薄いフタがついています。このフタは食べられないので、食べる直前に手ではがしてくださいね。

余ったながらみは、冷凍保存することもできます。食味はやや落ちますが、サラダに加えたりお味噌汁の具にしたりなどアレンジが効くので、食べきれない分は冷凍保存するのがおすすめです。

千葉の味覚を楽しもう!

今回は九十九里名物の珍味「ながらみ」の特徴と、おいしい食べ方をご紹介しました。

海の幸が豊富な千葉県には、まだまだおいしい食べ物がたくさんあります。今後もご家庭で手軽に楽しめる千葉の恵みを続々紹介していきます!お楽しみに!

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