千葉グルメを味わう
かつては日本でも60000トン近くの漁獲量があったシジミですが、1980年代から徐々に減少し、近年は10000トンを下回るくらいの漁獲量を推移しています。
うなぎやサンマと同じく、シジミも今や庶民的とはいえない高級な食材への仲間入りを果たしそうなところにありますが、一方で希少価値が生まれ市場で重宝されることも。
千葉県では主に利根川付近でシジミ漁がさかんでしたが、やはり漁獲量は減少の一途をたどっています。
漁獲量の減少とともに価格が上昇傾向にあるシジミですが、だからこそシジミをいただく際はおいしさをたっぷり堪能するだけでなく、シジミの栄養を存分にいただきたいですよね。
今回は、シジミの栄養をあますところなくいただき、かつおいしく食べる方法をご紹介します。
シジミの栄養価
シジミは肝機能を高めることで知られていますが、その理由は豊富に含まれるオルニチンにあります。
オルチニンはアミノ酸の一種で、疲労回復や肝機能の向上に効果的といわれています。成長ホルモンの分泌を促す物質でもあり、体内のアンモニアを無害な物質に変えて排泄させる効果があり、これが「シジミは肝臓に良い」とされる理由です。
オルチニンのほか、シジミにはコハク酸もたっぷり含まれています。これもアミノ酸の一種で、シジミなど貝類に見られる特有のうま味成分です。グルタミン酸やイノシン酸と並ぶうま味成分で、コハク酸にはがん細胞の増殖を抑制する効果があることがわかっています。
このほかビタミンB12や亜鉛、鉄、銅、たんぱく質など、健康に良い栄養素が豊富に含まれています。
たんぱく質は三大栄養素の一つで、生命活動に必要なエネルギーを生み出すものです。亜鉛には皮膚を保護するはたらきがあり、鉄と銅は血液を作ります。
肝機能が低下しているときにシジミを食べるのは効果的ですが、できれば日ごろからシジミを食べて健康維持に努めたいですね。
シジミの個性を最大限に生かす食べ方
近年高騰しつつあるシジミ。せっかくならシジミの栄養をあますところなく摂取しつつ、豊富なうま味成分を引き出しておいしく食べたいですよね。
ここからはシジミの個性を最大限に生かす食べ方をご紹介します。
①冷凍する
多くの食材は「新鮮な方がおいしいし栄養価もある」と思われていますが、シジミは例外的な食材の一つです。
というのも、シジミは冷凍することでオルチニンが8倍にも増える上に、細胞が壊れてうま味成分が出やすくなるのです。
さらに生の状態だと冷蔵で3日程度しか保存できませんが、冷凍すると3ヶ月もの長期保存が可能になります。
シジミのポテンシャルを存分に引き出すなら、冷凍しない手はありません。冷凍する前に砂出ししておかないと、砂が残った状態になってしまうので注意。
なおシジミの栄養は、急速に冷凍するよりも-4℃でじっくり冷凍した方が増えやすいとの研究結果があります。
②ゆっくり火を入れる
シジミを調理する際は、熱湯にシジミを入れるのではなく、水から弱火でゆっくり火を入れます。そうすることでシジミのうま味成分がじっくりと抽出され、濃厚な味になるのです。
沸騰させるとシジミの香りが飛んでしまったり、身が縮みすぎてしまったりします。殻が開いたら火を止めましょう。全体に白色がかり、アクが出てきたらちょうどいい加減です。アクはていねいにすくい取ってください。
シジミの味噌汁を作る場合は、アクをとったあとに味噌を溶きます。昆布や鰹節などの和風出汁はいりません。シジミのうま味だけで十分においしい味噌汁ができます。和風出汁を入れるとかえって風味が濁り味が落ちてしまいます。
冷凍してうま味と栄養をたっぷりと引き出し、ゆっくり調理することで存分にポテンシャルを引き出したシジミの味噌汁は、体の内外の健康に貢献する栄養食です。
二日酔いの朝はもちろん、疲労がたまっていたりストレスを感じていたりするときなども心身の調子を整えるのに効果的なので、日頃からまめに飲むようにしたいですね。
今回はシジミのおいしさと栄養を存分に引き出す方法をご紹介しましたが、シジミだけに限らず二枚貝のほとんどは冷凍することで栄養価が高まります。アサリなども同様の手順でおいしく調理できるので、ぜひお試しください。
まとめ
今回は、シジミの栄養とおいしさを存分に引き出す方法をご紹介しました。
冷凍すると食材の風味が落ちてしまうのが一般的ですが、シジミなど二枚貝に限ってはそうではありません。むしろ冷凍することで栄養価が高まり、コハク酸などのうま味成分を引き出しやすくなります。
さらに調理時には弱火でじっくり火を入れて、時間をかけながら加熱することでうま味を最大限に引き出すことができます。
ただし加熱し過ぎると貝の身が必要以上に縮んでしまうので注意。
これらのポイントを押さえ、栄養たっぷりのおいしいシジミを存分に味わってください!