千葉グルメを味わう
多種多様な郷土料理が伝統文化として受け継がれている千葉県。
今回ご紹介するのは、夷隅(いすみ)地域で伝承されている「塩漬けたけのこの天ぷら」です。
シンプルな料理ですが、たけのこは千葉市や君津市、勝浦市、大喜多町、長柄町などの名産で、千葉県内で生産される良質なたけのこはこれらの地域に集中しています。
郷土料理である塩漬けたけのこの天ぷらは良質なたけのこを使ってこそ。新鮮なまま塩漬けにしたたけのこが手に入った折にはぜひお試しください。
塩漬けたけのこの天ぷらのレシピと併せて、天ぷらのおいしい揚げ方もご紹介します。
塩漬けたけのこに使う材料(2~3人分)
塩漬けたけのこの天ぷらの特徴は、揚げる前のたけのこに下味をつけることです。最初にたけのこを煮るので一手間かかりますが、味のしみこんだほっくりと食べやすいたけのこを天ぷらでいただくのは格別です。
塩漬けたけのこの天ぷらの作り方
それではさっそく作っていきましょう。
塩抜きなどをするので少し時間がかかりますが、手順はシンプルです。
①たけのこを塩抜きする
塩漬けたけのこを使う場合は、最初に塩抜きをしましょう。塩分濃度によって塩抜きする時間が変わりますが、一晩も水につけたら十分なはずです。
塩抜きをした後に少しだけ味見をして、ちょうどよければ次の工程へ。まだ塩辛ければ塩抜き時間を延長してください。
もし時間があれば、塩抜きした後にたけのこを水にさらすと万全です。また、天ぷらの衣を作るのに使う水は、冷蔵庫に入れてあらかじめしっかり冷やしておきましょう。
②たけのこを煮る
鍋に(A)と塩抜きしたたけのこを入れて沸かします。沸いたら火を落とし、弱火から中火でじっくり煮ましょう。
煮汁が半分ほどまで減ったら火を止め、そのまま自然に冷まします。
③衣を作る
ボウルに(B)を入れて菜箸で軽く混ぜます。しっかり混ぜる必要はありません。薄力粉のダマが残るくらいさくっと混ぜるだけです。
小麦粉にはグルテンが含まれています。グルテンは、小麦粉が水を吸収し刺激を受ければ受けるほど増えていきます。パンなどのフワッとした食感やモチっとした食感はグルテンの恩恵ですが、天ぷらはできるだけサクッと仕上げたいため、グルテンを極力生成しないように工夫しましょう。
衣用の水をあらかじめ冷やしておくのも、天ぷらをさくっと仕上げるための知恵です。これらのテクニックはたけのこ以外の一般的な天ぷらをおいしく揚げるのにも使えるので、ぜひ覚えておいてくださいね。
ちなみに衣に卵を使う場合は、卵もしっかり冷やしておきましょう。
④たけのこを揚げる
たけのこに衣を絡ませたら、180℃の油で揚げます。
衣が茶色く色づき始めるか始めないかくらいが上げどきです。天ぷらは油から上げた後も予熱で火が入っていくので、少し早めに鍋から上げるのがポイント。
油をしっかり切ったら盛りつけて完成です。
天ぷらをおいしく揚げる条件
おいしい天ぷらは、衣が軽くサクサクとしています。
サクサクした衣を実現するには、いくつかの条件があります。
①グルテンが少ないこと
薄力粉は小麦粉の中でもグルテンが少ないですが、それでも菜箸などで混ぜ過ぎるとグルテンが発生し食感が重くなってしまいます。衣の生地を混ぜるのに泡立て器を使うといっそうグルテンの生成が促進されるので、泡立て器の使用は厳禁です。
また、水や卵をあらかじめよく冷やしておくのも、グルテンを過剰に発生させないための工夫です。できれば薄力粉も冷蔵庫に入れて冷やしておきましょう。
衣を作った後はすぐに揚げることも大切です。なぜなら、時間がたつにつれて自然とグルテンが形成されるためです。衣の作り置きはせず、揚げる直前に材料を合わせるのが鉄則です。
②空気をたくさん含んでいること
薄力粉が空気をたくさん含んでいると、サクサクとした食感に揚がりやすくなります。空気をたくさん含ませるには、粉をふるいにかけるのが効果的。
少し手間ですが、この一手間を加えることで天ぷらの仕上がりが変わります。
③適切な温度で揚げる
揚げ油の温度が低いと衣がしっかり揚がり切らず、歯切れの悪い天ぷらになってしまいます。天ぷらを揚げるときは基本的に180℃の高温で一気に揚げ、揚げたあとはすぐに食べるようにしましょう。
ただし、生のたけのこやれんこん、にんじんなど、中まで火が通りにくい野菜を使う場合は、温度を170℃程度まで下げてじっくり揚げます。温度を下げないと具材に火が通るより先に衣が焦げてしまうためです。
逆に葉物野菜などすぐに火が通ったり焦げたりしやすい野菜は、衣を薄めにつけて180℃の温度で一気に揚げます。
まとめ
天ぷらは奥の深い料理です。極めるには鍛錬が必要ですが、ご紹介したポイントをしっかり押さえればご家庭でも十分においしい天ぷらが食べられます。
最後に天ぷらをおいしく揚げるポイントをおさらいしましょう。
これらを意識して、千葉の伝統的な郷土料理をおいしくいただきましょう。