千葉グルメを味わう
日本では年間を通してさまざまな行事があります。
正月など季節のイベントだけでなく、法事や冠婚葬祭など、親族が一同に集まる機会も少なくありませんよね。自宅に大勢の人を迎えるとき、もてなし用の食事の用意に頭を悩ませる人も多いのではないでしょうか。
そんなときに役立つのが、一度に大勢をもてなせる豪快な料理です。
今回ご紹介するのは、そんなおもてなしにぴったりな千葉県は館山市の郷土料理「ごんじゅう」です。
ごんじゅうの材料(12個分)
ごんじゅうは、甘辛く煮た豚バラ肉と油揚げを具にして作るおにぎりです。
千葉県館山市で伝統的に食べられている郷土料理で、今でも鶴谷八幡宮例大祭「やわたんまち」で、御輿を担ぐ人たちに振るまわれているそうです。
やわたんまちは1000年以上も続く歴史ある伝統的な行事で、安房地方でもっとも大きな秋祭りです。安房各地から11基もの御輿が繰り出され、御輿を担ぐ人の数も相当数にのぼります。
ごんじゅうはそんな大勢をもてなせる料理であり、その上、十分に加熱した具材を使うため食中毒予防にも効果的だとか。
家庭により受け継がれているごんじゅうの味はそれぞれ異なりますが、ベーシックなごんじゅうを作るための材料は以下の通りです。
上記のほか、細かく刻んだたけのこやれんこんなどを加えて食感を出したり、大葉で包んで爽やかさを加えたりなど、お好みでアレンジを楽しんでください。
ごんじゅうの作り方
それではごんじゅうの作り方をご紹介します。
①かつお節を煎る
フライパンを弱火で熱しながらかつお節を煎ります。油はひかずに乾煎りで。
かつお節を焦がさないように、フライパンを常にゆすりながら弱火で煎るのがポイントです。かつお節の香ばしい香りが立ってきたら火を消し、ボウルなどに移して次の工程に移りましょう。
②豚バラ肉を炒める
豚バラ肉を1cm幅程度の食べやすい大きさにカットします。油揚げはあらかじめ熱湯をかけてから絞り、油を抜いておきます。油抜き後に食べやすいよう細かく刻みましょう。
フライパンにごま油をひいたら、豚バラ肉と油揚げを入れて中火で炒めます。全体に火が入ったら、砂糖、醤油、みりん、酒、水を加えて煮ます。
軽くとろみがつくくらいまで煮詰めましょう。
③肉とご飯を混ぜる
炊いたご飯を飯台にあけて②と混ぜます。ご飯が温かいうちに混ぜるのがポイント。
飯台がない場合は大きめのボウルなどで構いません。
④おにぎりを握る
肉や油揚げなどが全体に馴染んだら、あつあつのうちにおにぎりを握ってごんじゅうの完成です。
ご飯が熱くて握りにくいときは、手に水をつけながら作業するといいでしょう。あるいは20cm四方にカットしたラップに適量を取り、ラップで包んで絞るようにしておにぎりを作れば、ごんじゅうに直接触れずにおにぎりを作ることもできます。やりやすい方法でお試しください。
ごんじゅうの豆知識
「ごんじゅう」の名前は、お祭りで氏子が左手の五本の指、右手の五本の指、計十本の指で握ることに由来するそうです。
館山市では比較的ポピュラーな郷土料理で、もともとは御輿を担ぎながら片手で食べてエネルギー補給をしていたのが始まりだとか。つまりごんじゅうが誕生した背景には、「手早くエネルギーを補給する」という目的があったのです。
おにぎりは片手で簡単に食べられる上、ご飯からエネルギーを摂取できるとともに、豚肉に含まれるビタミンB1には疲労回復効果もあります。栄養満点で食べごたえのあるごんじゅうは、御輿を担ぐというハードな行事にはうってつけでした。
氏子が御輿を担ぐ人にごんじゅうを振るまう慣習から、ごんじゅうはやがて「もてなし料理」の一つとして広く親しまれるように。さまざまな家庭で昔ながらの味が受け継がれてきたといいます。
あまったごんじゅうはラップで包んで冷蔵庫で保存し、食べるときに電子レンジで温めて食べられます。また、オーブントースターなどで温めて焼きおにぎりにアレンジしてもおいしいですよ。
食卓に出す際には、笹の葉の塩漬けでごんじゅうの間を仕切ると、見栄えするだけでなく防腐効果も高まります。器にもこだわれば、炒めた豚肉を混ぜただけのおにぎりが、あっという間にごちそうに。
簡単に作れて喜ばれるので費用対効果は抜群です。
まとめ
今回は千葉県館山市で伝統的に食べられている郷土料理「ごんじゅう」をご紹介しました。
作り方が簡単で、一度に大量に作ることもできるので、大勢のおもてなし料理に最適です。大量のごんじゅうは見た目も圧巻で豪快なので、ハレの日など特別な日に作ると盛り上がりますよ。
また、とてもジューシーで食べごたえがあるので、成長期のお子さん用のおやつにもうってつけ。子どもから大人まで楽しめる味です。
今度のイベントでは、ぜひごんじゅうを試してみてください。