千葉グルメを味わう
地域により多様な郷土料理が見られる千葉県。バラエティー豊かな食文化からは各地域の歴史や嗜好が垣間見え、とても楽しいですね。
千葉県の名産といえば最初に何を思い浮かべますか?
イワシ、アジ、落花生、キャベツ、梨……千葉の名産品はいろいろありますが、ご家庭の貴重なたんぱく源である「鶏肉」も外せません。
さて、今回ご紹介するのは、千葉県・市原市の郷土料理である「鶏雑炊(とりどせ)」です。鶏雑炊は文字通り鶏肉を使った雑炊で、方言により「とりぞせ」「とっどせ」と呼ぶこともあります。
鶏雑炊は、市原市のお正月料理として定番料理の一つです。昔は農家で鶏を飼っていることが多く、お祝い事や人寄せなど人が集まる日には、鶏を絞めて鶏雑炊でもてなす風習があったとか。こうした背景から鶏雑炊は、正月だけでなく冠婚葬祭などハレの日など、特別な日のごちそうとして親しまれてきました。
鶏雑炊の魅力は何といっても、簡単な調理で一度に大勢の人をもてなせるところです。ですから、親戚など大勢の人が集う正月料理としてはもちろん、普段でも夕食作りに時間をかけられないときや忙しいとき、お疲れのときなど料理にあまり手をかけたくない場合に重宝するレシピです。
鶏雑炊は調理が簡単なだけでなく栄養満点でとにかくおいしいので、ぜひお試しください!病み上がりの食事やダイエット食としてもおすすめですよ。
材料(4~5人分)
作り方
①野菜を下処理する
ごぼうは表面をよく洗ったらささがきにし、水にさらしてアクを抜きます。10分ほどさらしたら水からあげ、キッチンペーパーなどでしっかり水気を拭き取りましょう。
また、干ししいたけは水につけて戻しておきます。しいたけを戻した水にはしいたけのうまみが出ているので、ムダなく鍋に利用しましょう。もどしたしいたけは千切りにします。
なお、干ししいたけがない場合は普通のしいたけを使っても構いません。
②肉団子のタネを作る
鶏ひき肉に小さじ2杯分の味噌(分量外)とみじん切りにしたしょうがを加え、よく混ぜ合わせます。
鶏ひき肉は、同量のもも肉と胸肉を合わせて使うのがおすすめ。胸肉を使うことで旨みがよく出るだけでなくさっぱりと食べられ、節約にもなるので一石二鳥です。もちろんお好みによってもも肉だけあるいは胸肉だけで作っても構いません。
③食材を煮る
土鍋に水、アクを抜いたごぼう、戻してカットしたしいたけを入れて加熱し、ひと煮立ちさせます。しいたけを戻した水も一緒に入れましょう。また、沸騰させすぎるとごぼうやしいたけの香りが飛んでしまうので、煮立ったら火力を落とすのがポイントです。
次に鶏肉で団子を作り、鍋に投入します。つくね用の竹筒やスプーンを使って団子を作っても構いませんし、ビニール手袋をした手で肉を丸めて団子を作っても構いません。
団子に火が通ったら味噌を溶きご飯を加え、最後に刻んだみつばと刻んだゆずを振りかけたら完成!
鶏雑炊は、ご飯を煮込まずにさらさらとした状態で食べるのが姉崎(市原市)流です。なのでご飯は最後に加え、ひと煮立ちしたらすぐによそうようにしましょう。硬めに炊いたご飯を使うのが理想的です。冷めたご飯などでも構いません。
鶏雑炊の味つけに和風出汁やうま味調味料などは不要です。うま味はしいたけや鶏肉などからたっぷり出ます。仕上げは味噌で塩加減を調整するだけで十分ですよ。
なお、味噌の種類によって塩分濃度が異なるので、お使いの味噌に合わせて量を適宜調整してください。塩気が足りない場合は塩を足してもいいでしょう。
おいしい鶏雑炊のワンポイントアドバイス
昔ながらの鶏雑炊は、絞めた鶏を余すところなく丸ごと使っていたといいます。さばいた鶏から取れるガラで出汁をとるのはもちろん、軟骨を刻んだり、骨を叩いてねばりを出したりして団子に混ぜていたそうな。お好みで鶏軟骨を団子に加えてみるのもいいでしょう。軟骨の代わりにれんこんやたけのこを使って食感を演出するのもいいですね。
もし鶏ガラがあれば③の工程で鍋に鶏ガラを加え、弱火でじっくりうま味を煮出してください。鶏の旨みが増えていっそうおいしい雑炊を召し上がれます。鶏ガラを使う際は、最初にガラに熱湯をかけて汚れを洗い落とすと、臭みのないすっきりとした鶏ガラがとれます。沸かした後のアク取りも忘れずに!
まとめ
養鶏が盛んな千葉県に古くから伝わる郷土料理「鶏雑炊」。
食の宝庫とも言うべき千葉県ならではの料理ですが、高度な流通網と管理技術が発達した現代において、鶏肉は北から南まで全国どこでも手に入れやすい一般的な食材です。ぜひご自宅で、千葉県市原市に伝わる郷土料理をお楽しみください!