千葉グルメを味わう
千葉県は、日本国内においてトップレベルの野菜産出量を誇る県です。野菜の総生産量は全国でも三本の指に入るトップクラスで、生産されている野菜の種類も豊富。千葉のバラエティ豊かな郷土料理や食文化からも、農産物の豊かさがうかがえます。
さて、今回ご紹介するのは、そんな千葉の地の利を生かしたシンプルかつ素朴なお菓子「てんもんどう」です。
てんもんどうはシンプルがゆえに奥の深いお菓子ですが、ご家庭で簡単に作れるので、ぜひ挑戦してみてください。
「てんもんどう」とは
てんもんどうとは、野菜や果物を砂糖水で煮込んで長期保存を可能にした保存食です。クサスギカズラ(ユリ科の植物)の塊茎を茹でて乾燥させたものをハチミツに漬けた漢方薬(天門冬)に由来し、時代とともにさまざまな野菜が使われるようになりました。てんもんどうが生薬の天門冬と同じ呼び名で呼ばれるのは、製法が同じだからと推測できます。
さて、てんもんどうの作り方にはさまざまな流儀があるようですが、材料は原則として野菜・果物と砂糖だけです。レシピによっては塩を用いたり、ハチミツを加えたりすることも。いずれにしても、保存料などを用いなくても常温で10ヶ月は保存できるといわれています。
てんもんどうは昔、農民が農作業の合間に食べるお菓子として用いられており、気分転換のほか手軽に摂取できるエネルギー源として広く親しまれていました。
農産物が豊富な千葉県では、さまざまな野菜や果物がてんもんどうに利用されています。根菜や果菜をはじめ、葉野菜まで使えるのが特徴です。東金市ではてんもんどうが銘菓にもなっています。
材料
※量はお好みで調整してください。このほか、ごぼうや夏みかん、かんぴょう、紫蘇、ふき、しいたけなど、さまざまな野菜や果物で作ることができます。
てんもんどうの作り方
レモンは表面に防カビ剤などが塗布されていない国産のものを、ゆずは皮を使用します。今回はすべて薄めにスライスしましたが、お好みで厚みを持たせてカットしても構いません。あまり厚すぎると食感が悪くなるほか、砂糖が芯まで十分に浸透しにくくなり保存性が落ちるのでご注意ください。
しょうがは、繊維に対して直角にスライスすると歯切れがよくなります。また、ゴーヤは種とワタを取り除いてからスライスしましょう。
①アクを抜く
カットした材料を水にさらしてアクを抜きます。特にごぼうやれんこんなどアクの強い野菜には欠かせない下処理です。レモンの皮やゆずの皮などにもアクがあるので、すべての材料をアク抜きしましょう。
ごぼうやれんこんなどアクの強い野菜は、酢水で下茹でしてから3時間~1晩を目安に水にさらしてください。それ以外のものは30分~1時間ほど水にさらしてアクを抜きましょう。ゴーヤの苦みをできるだけ抑えたい場合も、ゆでこぼしてから3時間~1晩を目安に水にさらしてください。
②砂糖で煮る
鍋に材料がかぶるくらいの水を入れ、材料と同量の砂糖を加えて煮ます。水が減ってとろみがついてきたら、再度水と砂糖を加えて煮ます。再び水が減ってとろみがついてきたら、焦げないようとろ火でゆっくり煮詰めましょう。
砂糖が煮詰まってきたら、茶色く色づき始める前に鍋を火からあげ自然に冷まします。砂糖が茶色くなるのはカラメル化し始めた証拠で、ここからさらに火にかけると焦げやすくなるので注意しましょう。
③乾かす
十分に冷めたら材料をザルなどにあげ、水気を飛ばします。ラップなどをせず冷蔵庫内に置いておくと効率的に乾かせます。砂糖で煮た材料は、乾かしてもパリパリにならずしっとりしているのが特徴です。
④砂糖をまぶす
乾燥させて余計な水分を飛ばした材料に、仕上げに砂糖をたっぷりまぶして、てんもんどうの完成です。
本格的なてんもんどうは、さらに手間と時間をかけて作ります。砂糖の量を少しずつ増やしながら、何度も何度も水を加えては煮詰める作業を繰り返します。その結果、材料に砂糖が均等に浸み込み保存性と食味が高まります。
今回はご家庭でも作りやすいてんもんどうのレシピをご紹介しましたが、お時間のある方はぜひ②の工程にたっぷりの時間をかけて作ってみてください。
まとめ
今回は野菜や果物が豊富な千葉県ならではの郷土料理、「てんもんどう」の作り方をご紹介しました。
野菜や果物にはそれぞれ旬があります。旬の食材は手頃な価格で流通することが多いので手に入れやすいですよね。安く手に入った食材をてんもんどうにして保存するのもいいですし、野菜の切れ端や余った皮など本来捨てる部分を保存食にできるのもてんもんどうの魅力です。大人向けのお茶請けとしてはもちろん、子どものおやつにもぴったりですよ。
ぜひお試しください!