千葉グルメを味わう
日本人のソウルフードの一つである「蕎麦」。
郷土料理やB級グルメなどさまざまな食文化が各地方に根付いている日本ですが、蕎麦だけは東西南北を問わずすべての日本人に古くから愛好されています。
さて、蕎麦粉の産地といえば北海道や長野、茨城や福井などが有名ですが、実は千葉県でも名品と呼ぶにふさわしい蕎麦が栽培されているのをご存知ですか?
今回は、千葉県産の蕎麦粉を使って、おうちで打ちたての手打ち蕎麦を楽しむ方法をご紹介します!
蕎麦を打つのに必要なもの
蕎麦打ちには本来、蕎麦用の麺切り包丁をはじめこね鉢やのし板、こま板、綿棒などを使いますが、これらの道具がそろっているご家庭はそうそうないですよね。そこで今回は、代用できる道具も併せてご紹介します。
お店で食べるような本格的なお蕎麦は無理でも、家庭ならではの打ちたての香りに加え、何よりもお子様などと一緒に蕎麦打ちを体験する楽しい時間を過ごすことができます。
もちろん本格的な蕎麦打ちを目指してもヨシ。新鮮な蕎麦粉を使った打ちたての蕎麦は香りがとても豊かで、なかなか外で食べられるものではありませんよ。
さらに今回は、蕎麦粉を100%使用した十割蕎麦を作ります。二割の小麦粉を加えた二、八蕎麦よりも粉がつながりにくく難しいですが、蕎麦の香りを存分に楽しめます。
きれいでおいしい蕎麦を作るには蕎麦粉選びがとても重要です。今回使用している蕎麦粉については、次項を参考にしてください。
蕎麦打ちに必要なもの(2~3人分)
※蕎麦粉は、千葉県は成田市で栽培から収穫、製粉まで行われている、成田そば栽培農家 上野の「常盤秋そば」を使用しました。こちらの蕎麦粉は初心者でもおいしい蕎麦が作りやすく、甘みがあり香りもいい最高級の蕎麦粉です。
蕎麦打ちに使用する水は部屋の温度や湿度、粉の状態などにより微妙に変わりますが、大体蕎麦粉の52~55%程度を目安にしてください。なお、二八で蕎麦を打つ場合は43%程度が目安です。
成田そば栽培農家 上野のWebサイトでは各種蕎麦粉や打ち粉などを購入できます。こちらで取り扱っている蕎麦粉はいずれも十割蕎麦に適しているのでおすすめです。
【成田そば栽培農家 上野Webサイト】
http://ueno-soba.info/
蕎麦の作り方&打ち方(2~3人前)
①粉をふるう
ふるいなどを使い、蕎麦粉をふるいます。こね鉢の代わりに大き目のボウルや、底が浅く口の広い鍋などを使ってもOK。寿司桶などでも構いません。
②水回し
蕎麦粉をふるったら、粉に少しずつ水を加えて全体に馴染ませていきます。この作業を「水回し」といいます。
水回しは蕎麦作りでもっとも重要な工程だといわれており、ここで蕎麦の品質が決まるといわれるほど。重要なのは、蕎麦粉全体にまんべんなく水を回すことです。
最初は半量程度の水を蕎麦粉に回し入れ、指先を使って全体をぐるぐる回しながら混ぜていきます。蕎麦粉を練るのでなく、あくまで指先で優しく混ぜ込むイメージです。
水が回ってきた蕎麦粉は少しずつ塊を作りながら、おからのような状態になっていきます。
粉に水が十分になじんだら、もう少し水を加えてさらに同じ動作を繰り返していきます。
これを3~5回繰り返していくうちに、やがて蕎麦粉の塊が自然と大きくなっていきます。
すべての水を加え蕎麦粉の塊が大きくなったら、すべての塊を集めて一つの生地にまとめます。
③蕎麦を練る
まとめた蕎麦を練ります。この工程も大切です。うどんなどの場合は足で踏んだり腰を入れたりして力強く生地を練りますが、蕎麦はあまり余分な力を加えず、優しく何度も繰り返し練るのがポイントです。
職場職人は菊練りという方法を行いますが、ご家庭で行う分には生地から空気をできるだけ抜くようなイメージで練るといいでしょう。
5分ほど練ったら、全体から空気を抜くイメージで、生地を円錐状にゆっくり成型していきます。
生地の先端が尖ったら、練る工程は完了です。
④蕎麦を伸ばす
生地をのし板に移します。のし板がなければ大きめのまな板、あるいはキッチンの空いている作業台などを消毒し、生地を伸ばすための台として使ってもよいでしょう。まな板や作業台に打ち粉をたっぷり振りかけるのを忘れないでください。
円錐状の生地に打ち粉をしたら、てのひらで真上からゆっくりつぶし、全体が1.5cm~2cm程度の厚さになるよう優しく均等に伸ばします。円を作るよう形を意識しながら伸ばしていくと、きれいに仕上がりやすくなります。
ある程度伸びたら、綿棒を使って本格的に伸ばしていきます。蕎麦用の長い綿棒でなくても、一般家庭にあるサイズの綿棒で構いません。蕎麦粉の生地は小麦粉生地などのように弾力がなくもろいので、すぐに破れてしまいます。
また乾燥すると破けたりヒビが入ったりしやすいので、できるだけ手早く作業するよう意識しましょう。
全体が1.5mm~2mm程度になるまで伸ばしたら、生地をたたんで次の工程へと進みます。生地をたたむ際もたっぷりの打ち粉を振るのをお忘れなく!生地の厚みはお好みで調整してくださいね。
⑤蕎麦を切る
蕎麦を切るときは蕎麦切り包丁とこま板を使うのが一般的です。蕎麦切り包丁は麺を一度で美しくカットできるのが特徴で、こま板は麺を等幅に切るために使います。もちろんご家庭にこういった道具はないと思いますので、普段使っている包丁で代用してください。
麺を切るときは何度も包丁を入れず、できるだけ一度で思い切りよく切るのがコツです。
麺は大体100g程度で1人前です。目分量でも構いませんので、切りのいいところで打ち粉を振るい、切った麺を小分けにするとよいでしょう。
蕎麦の茹で方
十割蕎麦をはじめ、手打ち蕎麦は市販されている乾麺などよりも切れやすく割れやすいのが特徴です。そのため、茹でる際も冷水で洗う際も優しく扱ってください。
麺を茹でるお湯の量は1人前あたり2L程度を目安に、できるだけたっぷりのお湯で茹でるようにしましょう。茹で時間は乾麺などと違いとても短く、麺を鍋に入れてお湯が再び沸騰し始めてから15秒程度です。あまり茹ですぎるとべちゃべちゃになったり切れやすくなったりするので気をつけてくださいね。
茹でた麺は冷水に優しくあげて締めます。表面のぬめりがとれるまで優しく洗うのもポイント。
麺を茹でた蕎麦湯には蕎麦の栄養がたっぷりと沁みだしているので、めんつゆで割って飲むなど蕎麦湯として余すところなくお楽しみください!
千葉在来種の蕎麦粉を使った自家製手打ち蕎麦。
一度その香りの豊かさを知ってしまうと、もう外では食べられなくなるかも?!