千葉グルメを味わう
ピザやパスタ、サラダドレッシングにと幅広く使える便利な食材「アンチョビ」。
アンチョビはカタクチイワシやウルメイワシなど、小型のイワシを発酵して作られる発酵食品で、イタリアやスペインなどヨーロッパを代表する名産品の一つです。
スーパーなどで買うと意外とそう安いものでもなく、なかなか贅沢な使い方ができないのが悩みどころ……。それもそのはず、アンチョビは発酵食品というだけあり、作るのには手間と時間がかかるのです。しかも本場のアンチョビのように、発酵によるうまみと香りが十分な商品って実はそう多くありません。
「それなら自分で本場顔負けの本格アンチョビを作っちゃおう!」ということで、今回はアンチョビの作り方をご紹介します!
本格アンチョビの作り方
アンチョビは本来、カタクチイワシやウルメイワシを使って作られますが、今回使用するのはどこでも入手しやすいマイワシです。千葉県はイワシ漁獲量が全国トップクラスですから、カタクチイワシやウルメイワシ、マイワシなど、お好みのイワシで挑戦してみてください。
マイワシはウルメイワシよりも体長が大きく、骨がしっかりしています。その分骨が口にさわるので、マイワシの身をひらくときはお腹の骨を包丁でていねいにそぎ落としましょう。
とはいえ、アンチョビの作り方はどのイワシを使う場合も同じです。アンチョビ作りは時間こそかかります(発酵に数ヶ月かかります)が、作り方はとても簡単。
用意するものは、新鮮なイワシと塩、保存用のビン、そしてエクストラバージンオリーブオイルだけです。イワシを開いてフィレにするので、包丁も使います。慣れると包丁を使わず手で開くこともできますよ。
アンチョビはもともと保存食ですから、一度作っちゃえば一年以上もちます。一度にたくさん作って保存するのがおすすめ。
■アンチョビの作り方①~塩漬けにする~
アンチョビの作り方はとても簡単。イワシのウロコをとり、頭を落とし三枚におろしたら、皮をむいて身と塩を交互にビンへ詰めていくだけ。
イワシの身をビンの底に並べたら塩を振りかけ、二段目にも身を並べたら塩を振り──といった具合に、イワシのフィレと塩を交互に積んでいきましょう。
塩の量はイワシの重量に対し25~40%程度。塩分が濃いとそれだけ保存性が増しますが、塩辛い味になります。お好みで調整してください。
今回は特に計量せず、イワシの身が塩で隠れるくらいを目安に、目分量で塩を振っていきます。
このようにビンのふちに沿ってグルグル並べていくと、何となく本場感が増します。できるだけ隙間ができないように並べていきましょう。最初の作業はたったこれだけ。あとは3ヶ月程度放置して発酵を促します。常温で置いておきましょう。
■アンチョビの作り方②~オイル漬けにする~
3ヶ月が経過しました。気温の高い夏場でしたら、もう少し短い時間で発酵できます。
中の様子を覗いてみると……塩漬けにすることでイワシの水分が外に出て、身が水分に浸かっているような状態になりました。既にアンチョビのいい香りになっています。
もう料理に使える状態ですが、もう少し寝かせた方がまろやかで深い味になるので、ここからはオリーブオイルに漬けて保存します。
身が浸かっている塩水は捨てないでくださいね。塩水をこしたものはナンプラーとして、こすときに残った塩は、乾煎りして水分を飛ばすことでアンチョビソルトとして利用できます。
フィレをオイル漬けにした様子です。もうアンチョビとして使えますが、このまま1~3ヶ月ほど寝かせておくと、さらにおいしく召し上がれます。常温で保存しても冷蔵保存してもかまいませんが、冷蔵保存の場合、オリーブオイルが固まってしまう場合があります。その場合はアンチョビを使用する30分~1時間前にビンを冷蔵庫から出し、オイルを常温に戻しておきましょう。
アンチョビの活用方法
アンチョビはさまざまな料理に使えますが、生地にオリーブオイルを塗り、スライスしたにんにくとちぎったアンチョビ、少しの塩を振りかけただけのシンプルなピザがおすすめです。アンチョビのおいしさをそのまま楽しめるだけでなく、手軽に作れるのがこのピザの魅力。
もちろんパスタとの相性も抜群ですし、サラダドレッシングにコクと深みを出す隠し味としても最高です。じゃがいもと一緒にバターで炒めるだけでも絶品料理になりますよ。市販品ではなかなか味わえない本格的な味わいです。
アンチョビ作りを失敗しないために
アンチョビの発酵を促しおいしく作るには、実はイワシの内臓が重要な役割を果たします。イワシの内臓に含まれる菌が発酵を促すのです。ですから開いた後のイワシは水で洗わず、そのままビンに詰めていきます。発酵を促進するため、最後に内臓を加えてもいいでしょう。
もし塩漬けにしたフィレから腐敗臭が漂っていたら、残念ながらそれは失敗作。原因は雑菌の繁殖です。雑菌の繁殖を避けるため、イワシを開く際には手を清潔にしておいたり、保存用のビンを煮沸し殺菌しておいたりすることが大切です。最初にイワシのウロコを落とす際に、身をていねいに洗って水気をよく拭いておくことも重要。
また、フィレが塩水やオイルにしっかり浸かっていないと、そこから腐敗が進みやすくなります。塩漬けにした後は、全体がしっかり塩水・オイルに浸かるよう調整しましょう。
衛生をしっかり意識すれば、意外と簡単に作れちゃうのがアンチョビの魅力です。ぜひおうちで本格的なアンチョビ料理をお楽しみください!