お家で遊ぼう!
みなさんは、余ったご飯をどのように保存していますか?
炊飯器の保温機能を使って保存したり、余ったご飯はすぐに冷凍保存したり、ご飯の保存の仕方にはご家庭により色々なスタイルがあるかと思います。
まだ炊飯器や冷蔵庫などの家電製品がなかった頃は、飯台(はんだい)や飯櫃(めしびつ)など木製の桶を使ってご飯を保存していたといいます。実は飯台や飯櫃には、炊飯器などの電化製品にはない長所やメリットも。
今回は、千葉県指定伝統的工芸品の一つでもある飯台と飯櫃の魅力をご紹介します。
飯台・飯櫃とは
飯台は寿司桶とも呼ばれる木製の桶で、飯切/半切(はんぎり)と呼ばれることもあります。昔は出前寿司の器に使用されたり、ちらし寿司用の器として使われたりするのが一般的でした。また、現在においても寿司店などでは、米と寿司酢を混ぜて寿司飯を作るための道具として使われています。
一方米櫃は、ご飯を保存しておくための木製の桶です。飯台が口の広い形状であるのに対し、米櫃は飯台よりも口が狭く深いのが普通で、米が乾燥しないよう木製のフタが付属しているのが一般的です。
用途としては、飯台が米と寿司酢を混ぜるための桶として使われたり、ちらし寿司用の容器として使われることが多く、米櫃は米の保存容器として使われることが多いですが、いずれも米を保存するための保存容器として使うことができます(ただし飯台で米を保存する場合は、専用のフタや固く絞ったさらしなどでフタをする必要があります)。
いずれも椹(さわら)を使って作られるのが一般的で、特に伝統的工芸品として千葉県に指定されている野田市の桶は、木曽・上松産の上質な椹しか使われておらず、”たが”には銅の代わりに洋銀を用いるなど、特殊かつ伝統的な技法と工夫を用いて制作されているのが特徴です。
飯台
こちらが飯台です。
”たが”と呼ばれる2本の金属の帯で固定されている、椹製の桶です。
米や酢飯の過剰な蒸気や水分を吸収したり、米や酢飯が乾燥しそうになると水分を適度に放出したりする性質があるため、お米を長くおいしく保存できるのが特徴です。
かつて寿司桶として利用されていたのも同じ理由で、時間をかけてデリバリーしても寿司が乾燥しないのが飯台の利点です。
ちらし寿司用の容器として、あるいは手巻き寿司用の酢飯用の容器としても最適です。
米櫃
こちらが飯櫃です。
おひつには関東型と関西型があり、写真は関東型の江戸びつ。別名「かぶせびつ」とも。
関西型のおひつは「関西おひつ」または「のせびつ」ともいわれ、先述した飯台の写真のように、蓋を乗せるタイプのおひつです。
関東と関西でスタイルに多少の違いがありますが、いずれも用途や機能は同じです。
寿司屋などでは、飯台で作った酢飯をおひつに移して保存するケースが多く見られます。理由は、飯台よりも米櫃の方が容量が小さいため、米の乾燥や劣化をより防止しやすいからです。
また、ご飯や酢飯の保存容器として、飯台よりも米櫃の方が場所を取らないのも大きな理由でしょう。
【飯台のメリット】
【飯台のデメリット】
【米櫃のメリット】
【米櫃のデメリット】
以上を踏まえて、用途によりうまく使い分けるのがいいでしょう。
飯台と米櫃の使用上の注意点
木製の飯台や米櫃は、汚れがついたまま保管したり、湿気の多い場所で保管したりすると、カビが発生する可能性があります。ですので、使用後はしっかりと汚れを洗い落とし、水気を拭いて乾燥させてから保管する必要があります。
なお、乾燥させる場合は直射日光があたらない風通しの良い日陰が理想的です。直射日光にあてると急激な温度変化により、木材が傷んでしまう可能性があるのでご注意ください。
また、使い始めにはアク抜きの作業が必要です。
飯台や米櫃の素材である天然木材には、アクが含まれています。アク抜きをしない状態で使用すると、ご飯や酢飯にアクの渋みやえぐみが移ってしまう可能性があります。
使い始めは飯台や米櫃に、米の研ぎ汁や100ml程度の酢を加えた酢水を張り、2~3時間ほど置いておきましょう。
昔ながらの伝統工芸品でおいしいご飯を食べよう
今回は、千葉県指定伝統的工芸品の一つである、木製桶の一種「飯台」「米櫃」をご紹介しました。
そういえば、2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたのもまだ記憶に新しいところですね。和食は日本の伝統文化の一つ。そしてその背景には、常に飯台や米櫃といった陰の立役者の存在がありました。
昔ながらの道具には、それを使う合理的な理由があります。
飯台や米櫃を使って、日本の伝統文化と昔ながらのおいしくて体にいい和食に思いを馳せながら、ご家族でおいしいご飯を楽しんでみませんか?